第271話 吸収の仕様
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皇帝side
帝都での戦闘が激化する中、ボーヤン帝国皇帝は私室に居た。
そして設えた椅子に座りフルフェイスのヘルメットの様な仮面を被っていた。
「ふむ、まだ出てこぬか……。」
皇帝が呟く。
皇帝の被っている仮面の中には城壁の外の様子が映し出されている。
皇帝は戦闘が始まってからずっと戦闘の様子を観察していたのだ。
流石にススムのようにモニターは用意できないが似た様な効果を持つアーティファクトは所持していたのだ。
ただこれもカメラ部分が設置が難しく、消費エネルギーも大きいので帝都でしか使用出来ない代物ではあったが……。
その目的は敵の覚醒勇者の能力だった。
「魔装兵を出したか……あれは覚醒勇者以外には有効かもしれないな……都合がいいかもしれぬ。」
状況を確認しながら皇帝は呟く。
皇帝のスキル吸収
このスキルはその名の通り相手を吸収するスキルだ。
普通の人間であれば問答無用で吸収することが出来る。
そして吸収した相手の知識や技術、スキル、能力を自分の物に出来るのだ。
しかし、相手が覚醒勇者で有ると話は違ってくる。
覚醒勇者の抵抗力により簡単には吸収出来ないのだ。
そこで皇帝はスキルについて様々な実験を重ねた。
その結果、とある結論に至ったのだ。
覚醒勇者がユニークスキルを使用する所を観察すること。
それが覚醒勇者を吸収する為のトリガーだったのだ。
ただこれも一瞬眺めるだけでは駄目でしっかり観察が必要で、戦線で確認するにはリスクが伴う。
それにトーレス王国との前線で使えば王国側に認識されてしまう。
このスキルは切り札であるからそう簡単には公開できないのだ。
出来るならばトーレス王国の最強と言われるハウザーを吸収したいところでは有るがこれはかなり難解だ。
調べた所ハウザーはとにかく移籍ダンジョンから出てこないのだ。
現状はかなり劣勢であり選り好みは出来ない状況だ。
ここで跳ね返すのにはルアシーン軍の覚醒勇者を吸収するしか無い。
その為に貴重なアーティファクトを使って戦闘を見ているのだが……。
なかなか出てこない覚醒勇者に皇帝はかなり焦れていた。
皇帝は魔装兵を期待を込めて見つめるのだった。
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とにー




