第249話 タマムシ
月影ちゃんと私はダンジョンに入っていく。
月影ちゃんが前で私が後ろだ。
その周りを下忍達が囲む様なフォーメーションだ。
ダンジョンの中はゴツゴツとした岩が床から突き出ていて所々に枯れたような木が生えている。
障害物が多いので視界があまり良く無い。
あちらこちらに死角が有る感じだ。
ただ月影ちゃんは感知能力に優れているみたいでさほど気にせず進んでいく。
ただし、当然だが先頭は下忍で最終的な安全確認は下忍が行う。
勿論下忍も月影ちゃんは信頼しているようで然程ペースは落ちていない。
足元や岩や木の周りなどをチェックしているだけの様だ。
進み始めてから15分くらい、距離にすると2キロほど進んだ時に月影ちゃんの足が止まった。
「来ます。」
私にもサーチスキルは有るが30メートルほどだ。
どうやらまだ範囲外の様だ。
スピードの早い魔物などは30メートルなど一瞬で移動してきてしまう。
この手の視界の悪い場所では感知スキルの性能が物を言う。
月影ちゃんの感知スキルは感知の得意な覚醒勇者と比べてもそこまで劣らない。
詳細な感知でも100メートル先まで見通せる。
「どんな敵?」
「虫……ですね。玉虫でしょうか?細長い形です。」
私が少し見通し位の良い岩の上に登るとすぐにその姿が確認できた。
こちらに向かってきている。
ただ、サイズ感がおかしい。
まだ50メートル以上離れているのにその緑色に光る甲殻がはっきりと見える。
目測だけど5メートルは有るな。
先輩のランクル並だ。
その6本の足を器用に動かしかなりのスピードで進んでくる。
『あれ?なんだか目が会ったような気がした。』
昆虫の複眼が私を捉えたと言うのだろうか?
そこで巨大タマムシの魔物に変化があった。
背中の羽が開いたのだ。
『ブーーーーン』
大きな羽音が此方まで響いてくる。
そして……。
そのタマムシは空に浮かび上がった。
そして……。
猛スピードでこちらに接近してきた。
私は反射的に右手に剣を作り出す。
この剣は私のスキル空歩の発展系だ。
この剣を作り出せるようになるまで結構苦労したことを思い出す。
私が身構えるとタマムシはこちらに突っ込んできた。
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とにー




