第247話 バンドリューク砦攻略戦
ミーリアside
私は先輩に転移で送ってもらってクロウスブルグに移動した。
先輩はその後幾つか兵達に指示を出してその後私のところに来て言った。
「段取りは分かっているな?茜ならちゃんと出来るよ。緊張しないでいこう。」
「はい!」
私は元気よく返事をする。
しかし思っていたのは別のことだ。
『狡いなぁ、先輩。こんな時だけ茜呼びなんて、こんなのドキッとしない方が難しいよ。』
少しボーッとした頭を振って、冷静さを取り戻す。
その後先輩はワルフェアに戻って言ったので、私は渡されたノートパットタイプのデバイスで段取りを再確認する。
バンドリューク砦は強力な要塞だ。
この大陸の南西部ではルナの迷宮に次ぐほどの強固さが有る。
もし公爵がちゃんと守っていたら、例え暗愚な公爵であっても帝国の時間を年単位で消費させたであろう。
峡谷作られたその要塞はクロウスブルグ側から見てもその壮健さを保っており、そう簡単には攻略できないと思われた。
しかもここまでルアシーン軍の戦い方は研究されていて、防空に重きが置かれている。
そのためヘリ部隊でも攻め手に欠く状況だ。
陸は陸で防御用のアーティファクトを多数用意してシールドを展開するだけでなく砦の補修も自動で行えるようになっている。
そんな難攻不落の要塞を攻略するのが今回の作戦だ。
このバンドリューク砦はクロウスブルグへの侵攻を防ぐための要塞で有るが故クロウスブルグ側に抜けるための抜け道は無いことに成っていた。
実際クロウスブルグに行くためには普通の街道を使えば良いのだ。
わざわざ抜け道を作る必要はない。
しかし実は砦の中には隠しダンジョンがあり、そこが外部へと繋がっているのだ。
そのことを知っているのは公爵本人と令嬢で有るミーリア、そして軍のトップで有る衛兵長だけだった。
ただ衛兵長は降参に反対したので帝国の暗殺者に消されてしまっていた。
暗殺者を手引きしたのは公爵と言うか帝国の草であったメイドだった。
当時10歳だったミーリアには預かり知らぬことだが公爵の記憶を辿ったススムが確認していた。
公爵はこの隠しダンジョンについては帝国には漏らさなかった。
最後の手札として秘密にしていたと言えば格好は良いが実は単に失念していただけと言うことをススムは知っていた。
つまりこの隠し道を知っているものはミーリアしか居ないのだ。
今そのダンジョンの入り口にミーリアは立っていた。
その後ろには10人ほどのススムが用意してくれた忍者が続いていた。
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