第239話 人造魔人vs召喚勇者③
前島side
「チィ!」
俺は舌打ちをする。
先ほどの分身を見せられてしまっては迂闊には攻撃できない。
基本的には隙が大きくなるのは攻撃した時だ。
先ほどの斬撃は全員が放つことが出来ると考えるのが妥当だろう。
迂闊に攻撃を仕掛けて分身で避けられて斬撃で集中攻撃を受ければシールドを破られてダメージを受ける可能性が高い。
逆にこちらが身構えていれば斬撃も有る程度避けることが出来る。
1発くらいならシールドが持つと思われるのでこちらの反撃が有効となるのだ。
有る意味千日手のような状況だ。
お互い牽制し合ってジリジリと間合いを詰める。
どちらも接近することによって技の回避が難しくなる。
俺の額から汗がポトっと落ちた。
そしてお互いの動きがピタリと止まる。
これ以上踏み込むと必殺の間合いだ。
お互いともそれを感じ取っているのだろう。
一時の静寂が戦場を包んだ。
どちらがその静寂を崩すのか?
息を呑んでじっと動かずに耐える時間が刻々と過ぎていく。
しかし、その静寂は突然途切れた。
大塚が動いたのだ。
「うおぉぉぉっ!」
静寂を我慢できなかったのであろう、大きな叫び声を上げながら大塚は切り札を切る。
ダブルスラッシュを連続で放ったのだ。
「避けようが避けた敵も一緒に切っちまえば問題ないだろっ!」
まるで弾幕をばら撒くようにダブルスラッシュの嵐を巻き起こした。
これにはブラ○トさんもニッコリだ。
そして、俺はまるでそれを読んでいたかの様に魔法を重ねる。
範囲攻撃魔法ストーンストームにファイアストームを合成させた魔法だ。
レベルは6と若干低いがストーン系魔法はシールドに有効な効果がある。
その分若干威力が落ちるのだが炎系で威力をカバーしているので効果は的面だ。
俺は最初に動くのは大塚と読んでいた。
大塚の性格を考えれば静寂に耐え切れないだろう。
むしろよく今まで耐えた方だと思う。
故に俺は最初から大塚に合わせる方向で魔法を構えていた。
思った通り奴は範囲を制圧する方向でスキルを使った。
俺はそれに合わせるように範囲魔法を打ったのだ。
斬撃と範囲魔法が敵陣を荒れ狂う。
これならいくら防御スキルがあろうとも耐え切れるはずは無い。
二人の全力攻撃が終わった後、そこにはズタズタにされた魔人が立っていたのだ。
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とにー




