第234話 帝国の逆襲
帝国の作戦会議室は紛糾していた。
人造魔人の情報が開示されたのだ。
既にテストは済んでいて覚醒勇者に対しても充分な戦力となることが確認されている。
その戦闘資料が提示されていて、運用方法に関する会議が行われているのだ。
「全軍で王都を落とすべきだ。」
武官が発言する。
確かにそれが出来れば相当な成果であろう。
ただそれが達成できるか?
軍師部から反論が出る。
「それはあまりにリスキーすぎる。王都には最低5人のCランク冒険者が居る。その他にSランクが3人、Bランクが3人これが常駐の戦力となります。」
「更にタイミングによっては5人から10人のCランク冒険者居る可能性があり、攻略に時間がかかれば周辺街街から戦力が集まる可能性も有る。孤立無援であったスタンリースとは訳が違うのですよ。」
こう言われてみれば全戦力で王都を狙うと言うのは無謀に思える。
会議は軍師部が先導する形となって行く。
「まずは部隊を6人づつ5つの部隊に分けて今戦線が開かれている3箇所に投入します。」
軍師筆頭と思わしき男が地図を示す。
「現在ここには2人ずつの覚醒勇者が守備しているので6人の部隊で突破します。3箇所とも戦線が破られれば向こうは動揺するでしょう。」
「ただし、バラバラに攻めたことによってトーレス王国側も全体を掴めないでしょう。援軍を遣すでしょうが様子を見ながらと言うことになると思われます。」
地図上のユニットを動かしながら続ける。
「こちらは前進しながら相手の様子を見て戦力を補強します。各個撃破の形をとります。」
「そうして前進すれば王都の戦力も出てこざる得ないでしょう。」
そこで武官が疑問を呈した。
「それだと王都を固めてしまうのではないか?」
しかしそれを軍師は否定する。
「トーレス王国は覚醒勇者の強さに絶対の信頼を置いております。直接王都を責めるとかでなければ殲滅のための兵を出してくるでしょう。」
「ふむ。」
「この案の良いところはもし上手くいかなくても全戦力を失うことは無いことです。3箇所全部が失敗ということはないでしょう。」
そこまで軍師が話したところで、会議を仕切っていたグルーゼが決断を下す。
「その作戦で決定する。細部をまとめて今日中に報告しろ。」
そう言ってグルーゼは会議室から退出した。
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