第228話 生還
この後建国編とか有りますが長くなったので現代に戻ります。
水影の言葉にリーリスが打ち塞がれていると、潜水艇の出口から二人の女性が駆け寄ってくる。
一人はドレスのような格好で、もう一人は鎧を纏っている。
どうやらこのドレスの女性の護衛を鎧の女性がしていることが伺えた。
「リーリス、大丈夫なの?」
女性はリーリスを慮っているのと状況を知りたいとの両方なのだろう。しかし、リーリスの動揺は隠せない。
それは、今までアダマンタイト級冒険者としてさしたる苦戦をしてこなかったリーリスにとって予想だにしていなかった状況がそうさせたのだろう。
「クローディア、レオンが……パトリックが…イージスが……。」
ううっと泣き崩れるリーリス。
「そ、そんな……。」
クローディアも唖然とする。
その時鎧を着た女性が二人に声を掛ける。
「お二人とも、お気を確かにしてください。イージス達は私達を逃がすために……。」
気丈には振る舞っているがその女性もそこで言葉を失ってしまう。
三人は絶望にうち塞がれているが、水影にとっては茶番にしか見えない。
いや彼女達は本気で絶望しているのだろうけど……。
水影はススム様が手を回している以上全てが上手く行っているイコールレオン達も助かっていると分かっては居るが、それを自ら話す事はススム様のスキルに関する事なので行うわけにはいかない。
それに、レオン達が生きていると言ったとしてもリーリスに全滅したのに何故生きてるのかと聞かれたらそれを説明する事も出来ない。
だとしたら、今水影に出来ることは、ただ見守るだけと言う事だけだ。
まぁ忍の特性上、耐えることには慣れているので、じっとひたすら見守り続けた。
しかし、そんな水影の苦行もさして長くは続かなかった。
程なくススムが現れたのだ。
「水影、ご苦労様。」
ススムは水影に気安く話しかける。
水影は即座に平伏してススムを出迎えた。
「これはススム様、勿体無い言葉です。」
「そちらのお嬢さん方がアダマンタイト級冒険者達の奥さんか、大丈夫、三人とも生きてるよ。」
あまりの水影の変貌に気を引かれてこちらを見ていた三人がススムの言葉に呆気に取られる。
再起動は流石に覚醒勇者であるリーリスが早かった。
「レオン達は生きてるんですか?」
ススムに掴みかかるように問いただすリーリス。
もしこれでススムが一般人だったらそのまま引き倒されていただろう。
ススムはリーリスを軽くいなすと、三人に聞こえる様に言う。
「三人はルナの病院に寝ているよ。それより民間人を船から出す方が先だろう。宿泊先も用意してあるから港に用意してある乗り物に乗ってくれ。」
そこには30台ほどのバスが用意してあった。
そしてピストン輸送で団地まで民間人を輸送するのであった。
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とにー




