第224話 ドラゴン
「チッ、やはりこの程度では前座にもならぬか。」
ゾーザスが呟く。
いくら最上位種と言っても所詮はサイクロプスだ、本来なら瞬殺されてもおかしくは無い。
どちらかと言うとよく持った方だと言える。
それにはゾーザスのスキルの影響があったのだ。
彼のスキルは魔物召喚とその召喚した魔物に強力なバフを与える物だ。
その為にたかがサイクロプスに、あれほどのパワーを持たせたのだ。
ゾーザスは次の魔物を召喚する。
そして現れたのはフェンリルだ。
フェンリルはワルフェアのダンジョンでなら22層、覚醒勇者を相手に対等に戦える魔物だ。
しかしそれはあくまで一対一だったらの話である。
覚醒勇者の戦力は普通人数分の足し算と言われる。
三人居れば三倍は強いのだ。
しかし、フェンリルも通常の状態では無い。
ゾーザスのバフは思ったより強い。
しかも彼のバフはある程度自由度が利き、欲しい効果を与えることが出来るのだ。
サイクロプスなら攻撃力を、そしてフェンリルにはスピードだ。
バフを貰ったフェンリルのスピードはもはや覚醒勇者でも捉えるのが難しい。
イージスでも攻撃を防ぐので精一杯だ。
正直普通に覚醒勇者三人なら相当苦戦したと思われる。
しかし、この三人は同じパーティで戦ってきた仲間だ。
その連携は完璧なものだ。
それもパーティとして精錬されている。
例えばイヴと春花がダンジョンで素晴らしい連携を見せたが、あれはあくまでもタイミングを合わせただけと言える。
しかしレオン達の連携はお互いの事をわかり合っている上にレオンのスキルを活かした五手も十手も先を読んで行う連携なのだ。
フェンリルの移動の癖をスキルで掴んだレオンが先回りをして切り掛かる。
それでも竣敏性に優れるフェンリルは回避するがその回避先をも読み切ったレオンの指示にパトリックが透明な壁を作る。
それを三回ほど繰り返し、どんどんフェンリルを追い込んでいき、身動きが取れなくなったところをイージスの剣で叩き切った。
そんな事を以心伝心で出来るからこのパーティは強いのだ。
フェンリルが敵味方構わず暴れ回ったので状況はならず者たちが死屍累々だ。
そんな中ゾーザスが切り札を打った。
そこに召喚されたのは青色のドラゴンだった。
少しでも面白いと思われましたらモチベーションに成りますのでブックマークや評価をよろしくお願いします。
とにー




