第221話 ゾーザス
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家に戻ろうとするクローディアを呼び止めてリーリスはブローチ型のアイテムを渡す。
「これは私の声が届くアーティファクトよ。意思を込めればあなたの声を私に届けることもできるわ。何かあったら連絡して。」
実はクローディアにアーティファクトを渡したのはもう一つ理由があるがそれはまだ言わない。
「ありがとう。」
そう言ってクローディアは屋敷に戻って行った。
一晩牢屋で過ごすことなど別に慣れているわけでは無いが冒険者である彼らにはさして苦にならない。
レオンは床に胡座をかいて考え込んでいる。
思考に入るときの癖のような物なので他のみんなは何も話しかけない。
小一時間ほどレオンはそうしていたが、考えが纏まったのか立ち上がった。
そしてみんなに話始める。
「まずは段取りだ。領主屋敷に行ってクローディアさんのお友達を助ける。そして領主を糾弾する。しかし、ここまでで不確定要素が一つ有る。」
「領主の戦力かい?」
パトリックが口を挟む。
「そうだ、しかし戦力と言っても問題なのは衛兵じゃない。冒険者のサモナーの方だ。セイレーンクラスを呼び出せるとすればかなりに実力者と言える。」
「確かに……だけどあのクラスの魔物なら僕達の敵じゃ無い。」
パトリックが憤るが、レオンは冷静だ。
「そのサモナーが更にランクが上の、例えばドラゴンなどを呼び出せる可能性もある。」
「ふむ。」
相変わらずイージスは短く相槌を打つ。
「そのサモナーが領主の配下と言うのならその可能性は低いが、クローディアさんから得た情報に寄ると協力関係と言う形らしい。サモナーの方が領主を利用しているとすれば切り捨てることも躊躇わず屋敷内で大型魔物を呼びかねない。」
「でも、ドラゴンだって私達なら倒せるよね。」
「それはリーリスの言う通りだが……その場合の被害は深刻だ。正直屋敷はどうでも良いがクローディアさんや囚われた住民にも被害がいく可能性がある。」
「そいつは拙いな。」
パトリックが掌を顔に当てる。
と、その時だった。
クローディアから連絡があったのだ。
「聞こえるかしら?」
「大丈夫、聞こえてるわ。」
リーリスがそれに答える。
「今あなた達を倒せる戦力を集めてるみたい。後それとなく聞いたのだけどサモナーの冒険者の名前はゾーザスと言うそうよ。」
「ありがとう伝えるね。あまり無理はしないでね。」
リーリスはクローディアにそう伝えると今聞いたことをレオン達に伝える。
「ゾーザスか、聞いたことがある。能力は高くアダマンタイト級も狙えるほどだったのだが素行が悪くギルドから追放されたやつだな。しかし奴だとすれば手は有るな。プライドが高くて頭に血の登りやすいやつだ。ならば陽動と行こう。」
作戦が決定したのだった。
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