第213話 離脱
レオンはリーリスとパトリック指示を出していた。
「パトリック、住民の避難は完了したか?。」
「うん、リーリスの潜水艇の中を僕の空間拡張で100倍にしたからね。全員収容済みだよ。」
パトリックのスキルは主に重力や空間を操る。
その応用で空気を利用した装甲を作ったり物体の動きを良くしたり武器を強化したりするのだ。
もちろんそれは自分自身にも使えるためパトリック自身の戦闘能力もかなりなものに成っている。
特にシールドに至っては多重に張ることができるためパトリックの防御を抜くことは至難の業なのだ。
「リーリスは潜水艇を使って脱出しろ。リブ王国、もしくはトーレス王国に援助を求めるんだ。」
「解ったわ。でも皆んなも離脱してよ。」
リーリスの言葉にレオンも頷く。
「大丈夫だ。俺たちだったら何とかなる。リーリスの離脱が確認できたら逃げ出すさ。」
レオンが笑顔で答える。
「きっとだよ。」
そう言ってリーリスがその場から消え去る。
リーリスの転移は少し独特で自分の作り出したアーティファクトの位置まで飛ぶことが出来ると言う物だ。
ただチャージに10分掛かるため連続で飛ぶことは出来ない。
リーリスは潜水艇を発信させる。
急いで離れることがレオン達の生存率に繋がる。
そのスピードは40ノット程であった。
「パトリック、リーリスが安全圏まで行ける時間を稼ぐぞ!」
レオンが叫ぶとパトリックが魔人たちに斬り込む。
イージスはすでにボロボロだがパトリックがシールドを掛けてレオンが回復魔法を唱える。
状況はよくなったかに見えたが……。
ここで魔人達は切り札を使ってくる。
両手を広げて掌をパトリック達に向ける。
そして、その掌でシールドを圧迫する様に押し込んだ。
破れるシールド。
シールド破壊攻撃スキル。
一対一では隙が多すぎて使えない技だが多対一の状況ではシールドに対して有効な攻撃だ。
これによってパトリックの張ったシールドがことごとく破られていく。
一体の魔人がパトリック達の攻撃を防ぎその隙に他の魔人がシールドを割る。
その連携もかなり訓練された物だった。
レオンはこの時点で分の悪さを理解する。
リーリスが離脱してから10分だ。
30分は時間を稼がないと安全とは言えない。
レオンは死を覚悟した。
彼女は守らなくてはならない。
子供も居るのだから。
イージスもパトリックも嫁を娶り子供もいる。
愛する人達のために命を賭すことに迷いはなかった。
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