第212話 天眼
「おかしいな。」
センタールームでレオンは呟く。
魔人が破壊の衝動を発動しているとすればここまで建物などを破壊しながら来るはずだ。
もっとおかしいのは野良魔人が組織立って行動するなど聞いたことはない。
新しい魔人王の侵略が始まったのだとすればリブ王国やトーレス王国の方が先だろう。
そうすれば当然情報は入ってくる。
そう言えばルアシーン公国が奪還されたと情報が入っているが何か影響があるのか?
アダマンタイト級冒険者として情報は集めているが、帝国に囲まれた地ではどうしても情報は制限されるのだった。
ともかく今は眼前の戦闘に集中しなければ。
レオンはリーリスと塔から出る。
今まさに両軍は激突しようとしていた。
そこでレオンはスキルを発動する。
天眼
戦場を頭上から見た様に見えるスキルだ。
しかもレオンのスキルはまるで六面から見た様に戦場を把握できる。
このスキルによってレオンはゴーレム兵を手足の様に扱えるのだ。
両者は正面から激突する。
体躯ではゴーレム兵の方が上回るが戦闘力は魔人の方が強い様に思える。
レオンは冷静に戦力分析する。
イージスは魔人に対して少し優位に戦っているが簡単に勝負の付くほどの実力差では無い。
ゴーレム兵は魔人より体力はあるが明らかに攻撃力の高い魔人達に分がある。
レオンは取り敢えず魔人一体につきゴーレム兵を一体ぶつけると残ったゴーレムを複数づつ魔人に当てた。
一体の魔人に対して四体のゴーレムをぶつけたのだ。
確固撃破を繰り返す戦法だ。
しかし、レオンがその手段を取ろうとゴーレム兵を動かした時、人造魔人の方にも動きがあった。
フォーメーションを取り始めたのだ。
イージスと戦っている人造魔人を先頭に矢印のように並び始めた。
いわゆる蜂矢の陣と言われる陣形だ。
これにはレオンが驚いた。
魔人が陣形を組んで来るとは想像にもつかなかったのである。
その為対応が遅れた。
本来であれば対応出来る陣形を組むことはレオンには容易かったのだが指示が遅かったためにゴーレム兵はズルズルと人造魔人に着いていく形になり、隙を見せる形になる。
この人造魔人達はその隙を見逃さなかった。
ゴーレム兵目掛けて不可視の斬撃を放つ。
側面などから放たれた攻撃は防御出来ずにゴーレム兵に直撃する。
ゴーレム兵の耐久力は高くシールドも張っているが一撃でシールドを剥がされ、その後二発ほどで沈黙する。
確固撃破をやろうとしてやり返された形だ。
数体が倒されて数の優位がが崩れてくるとさらに戦況が厳しくなる。
イージスが二体ほど魔人を倒したが焼石に水だ。
ゴーレム兵がどんどん倒されていく中、レオンは決断を下した。
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