第211話 人造魔人
人造魔人達は街に近づくと結界の手前で着地する。
空を飛びながら攻撃できないのは通常の魔人と同じだ。
実際は出来ないわけではないとは思うが素体の習性に引っ張られているのだろう。
人造魔人達は結界の前で展開すると同時に結界に向かって攻撃を仕掛けた。
使ったのは魔人特有スキルの不可視の斬撃だ。
人造魔人達が構えた右手を振るとそこに衝撃波が生まれる。
それが鋭い刃になって結界に斬りかかる。
彼らえは素体としては野良魔人であるが実は野良魔人も魔人兵もその身体能力は大して変わるものではない。
野良魔人と魔人兵の大きな差はその存在値にある。
存在値はスキルを取得する事だけに影響するのでは無い。
そのスキルの効果にも大きな影響を与える。
体は野良魔人の物である人造魔人だが魂は存在値を高めた物が入っている。
その強さは魔人兵と変わらないのだ。
不可視の斬撃もトーレス王国で野良魔人が使う同名のスキルとは威力が全く違うものになっていた。
斬撃による衝撃波が結界に激突するとかなりの炸裂音が響き渡る。
そしてその時生じた爆煙が消えると結界が消失していた。
シールドと結界だがシールドは人や物に貼るもので結界は場所に貼るもの、と言うだけではなくその性質も違う。
シールドはそのものに強度があり、ダメージによってその強度が薄れていく。
その強度はあくまで貼られた時のレベルである。
しかし結界はそこに込められたエネルギーが切れるまで有効となる。
ダメージを受けるとエネルギーを消耗するので有効な時間は短くなるがエネルギーの供給が可能なら結界が途切れることは無い。
ルルーナに張られた結界などススムのデバイスからエネルギーを供給していたのでススムの資産が尽きるまで有効だったのだ。
今回この国に張られている結界はリーリスのスキルで作り出されたアーティファクトによるものでありそのエネルギー供給は魔石だ。
先日の事があったので新品のランク8魔石に交換して有ったのだがこの攻撃に耐えることは出来なかった。
結界の破壊が確認できると、人造魔人達は再び飛び立った。
結界の有った場所から中央塔まで5キロ程あるが、空を飛べば五分ほどで着いてしまう。
中央塔にはゴーレム兵が布陣していた。
その先頭には両手剣を持つイージスの姿が有る。
イージスは直接戦闘に優れたスキルが有り、いつも先陣を切るのは彼だ。
人造魔人達とアダマンタイトパーティの戦闘の火蓋が切って落とされた。
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