第210話 襲撃
「結界に衝撃が有ったわ。」
中央塔のセンタールームにリーリエが駆け込んでくる。
「どの程度のダメージだ?結界は問題ないか?」
センタールームのデスクで執務を熟していたレオンが冷静に確認する。
「結界は問題ないわ。ただ思ったより衝撃の威力が高かったので報告が必要かなって……レベル5魔法相当のダメージよ。」
その言葉を聞いてレオンは目を大きく開く。
「レベル5相当は魔物や自然に起こせるものではないな。衝撃は一度だけなのか?」
「うん、一度だけね。警戒したけど一度っきりだったわ。」
「ふむ、何かの下調べの可能性もあるな。警戒レベルを上げるとしよう。」
「分かったわ。私も油断しない様に結界を見張るね。」
「イージスとパトリックにもパトロールの頻度を上げる様に言ってくれ。」
「分かったわ。」
リーリエはテレパシーのスキルで二人に連絡しながらセンタールームから出て行った。
レオン、リーリエ、イージス、パトリックの四人がこの国のリーダーのアダマンタイト級冒険者パーティだ。
この国では王は特に決めては居ない。
重要案件は四人で話し合って決める評議制だ。
だが、基本的にはリーダーで有ったレオンから指示が出る。
疑問が有れば三人から容赦なく異議が出されるが元々パーティの頭脳であったレオンの意見が否定されることは少ない。
今回も指示通りイージスとパトリックは警備の巡回の回数を増やすだろう。
そんなことが有った三日後、この国に飛来する多数の影があった。
それを見つけたのは街の外までパトロールに出ていたイージスだ。
「接近する飛行物がある。数は30程度。敵性のの模様。」
あまり多くは語らないイージスは状況だけ簡潔に伝えてくる。
基本的にテレパシーはリーリスを中継することとなる。
リーリスはその事をレオンに知らせる。
「パトリックに住民の避難をさせろ。緊急事態だ最大戦力で防御体制を整える。」
レオンの判断は早かった。
敵性の30体の飛行物と言うのは正直想像できる存在はない。
だからこそ恐ろしい。
何か緊急事態が起きているに違いない。
先日レベル5相当の攻撃が有ったが、今回の30体が全員その攻撃が出来るとしたら結界は持たないだろう。
最悪を想定する場面で有った。
「奴らは角が生えている。魔人の可能性高し。」
イージスからの続報が入る。
「イージスも一度中央塔まで撤退しろ。ここで迎え打つ。」
レオンが指示をするとイージスも戻ってくる。
彼らは4人揃っていた方が強いのだ。
「ゴーレム兵を起動しろ。塔の中に配備してある兵は全て出せ。」
塔の中から2メートルほどの人型の物が隊列を組んで五十体ほど出てくる。
これはリーリスがクリエイトアーティファクトのスキルで作り出したゴーレムだ。
一体一体が歴戦の戦士並みに強い。
そこにパトリックのオーバーアーミーのスキルでバフが掛かると無敵の軍団の出来上がりだ。
さらにそれをレオンが操るとドラゴンでさえ倒せる兵達に変わるのだった。
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