第209話 スタンリース国
大陸の北東。
位置からするとリブ王国の少し南。
ボーヤン帝国が最後に吸収したノーリス共和国の東側にスタンリース国と言う小さな国がある。
東側は海でそれ以外の地域は山に囲まれて少し前までは陸路ではノーリス共和国と、海路ではリブ王国との交易をしている國だ。
人口は一万人ほど。
他の国では一つの街程度の規模だ。
そんな帝国からすれば吹けば飛ぶような存在ではあるが、この国はまだボーヤン帝国の攻撃を受けては居ない。
敢えて攻めていない。
取るに足らない。
と言えば言えるのかもしれないが、実はこの国の特殊性が理由であった。
この国は4人の冒険者が興した國なのだ。
冒険者のランクはアダマンタイト級。
ギルドの認める最高ランクの冒険者パーティが国を興したのである。
アダマンタイト級冒険者は全部で9人登録されている。
それぞれ4人、3人、2人でパーティを組んでいて全部で三パーティー有る。
アダマンタイト級冒険者は他のランクと一線を画する強さがあると言われていて余程のことが無いと認められることはない。
実は現存するアダマンタイト級冒険者は覚醒勇者なのだ。
帝国はアダマンタイト級冒険者をスカウトしようとしたが、応じるものは居なかった。
しかも現在所在が確認できるのもこの国の四人だけで他の五人の所在を知っている者は居なかった。
当然帝国はこの国に脅迫じみた書状を送ったのだがけんもほろろに断られた。
そして帝国はこの国を攻めることを検討したのだが……それは実行されなかった。
四人の覚醒勇者がパーティとして完全なコンビネーションを使われると言うのはあまりに厳しく費用対効果を考えての断念である。
しかし今、この国に帝国の魔の手が迫っていたのだ。
元々国境が接していたノーリス共和国はボーヤン帝国に吸収されているのでスタンリース国の周りは全てボーヤン帝国となっている。
ボーヤン帝国はそこを検問で囲み徹底した情報管理を行った。
それは戦争の内容を外に漏らさない為だ。
それは極秘で開発された人造魔人をトーレス王国に秘匿する為である。
スタンリース国攻略に投入された人造魔人は全部で30体。
それはトーレス王国との戦争に投入する前の実戦テストで有った。
ーーーーーーー
少しでも面白いと思われましたらモチベーションに成りますのでブックマークや評価をよろしくお願いします。
とにー




