第208話 春花
春花が俺をダンジョンの22層に呼び出した。
「どうした春花、告白か?ここに大きな木はないぞ。」
俺の軽口に春花は即答する。
「違うよ!今更しないよ!」
なかなか良い反応だ。
イヴとは違った意味でからかい甲斐のある奴だ。
「それでどうした?」
「いえね、ちょっとイヴお姉ちゃんに触発されちゃって……私も新技考えてみたよ。」
春花はそう言ってニコッと笑った。
春花のスキル光の剣はとても汎用性の高いスキルだ。
物理防御が通じない上に物理無効の敵にも、魔法無効の敵にも効果があると言う反則級の強さだ。
その上春花の戦闘センスが良いのでその場その場に応じた戦い方が出来る。
だから俺は春花はスキルの性能アップより戦闘技術のレベルアップを優先する様に指示していたのだが……。
「前からね、伸ばして使うことは出来たでしょ、その応用で……ほら二刀流。」
春花は左手にも光の剣を出す。
うーん、二刀流は正直お勧めしないが……まだ続きが有りそうなのでそのまま俺は見ている。
「二刀流はね、正直あんまり強くならないの……だから左手の剣を盾にするの。」
おおっ、それは良い。
面対策になるな。
「これでシールドバッシュすると結構強力だよ。」
「それが新技か?」
「んーん、違うよ。ここまでは応用技。そして……ここからが新技だよ。」
そう言った春花は左手の盾を剣に戻すと両手の剣を背中に刺す。
その時に纏っていた光の膜に光の剣を同調させる。
「実は先日見た異世界アニメとロボットアニメを合成して見たよ。」
光の幕を強化して体全体を光で包んだ後背中に刺した光の剣が大きくなり背中で翼の様な形になる。
そして、その翼をはためかせて彼女は空に舞い上がった。
「どうかな、ミーリアさんを見て私も空を飛べたらなと思って。飛び方はシルビアさんに習ったの。魔力の翼で飛ぶのはドラゴンと同じだからって似た様な仕組みで飛べるからって……。」
そう言いながら彼女は大空を飛び回る。
光の膜に包まれて光の翼をはためかせて飛ぶその姿はまるで天使の様だった。
「こんなことも出来るよ。」
そのまま彼女は滑空して地上にいたベヒモスに接近する。
ベヒモスから放たれた雷撃を交わすとそのまま翼を広げて横を通り過ぎた。
その時、翼がベヒモスをスライスする事となった。
「どうかな?」
春花が笑顔で尋ねてくるので俺も笑顔で答えてあげる。
「素晴らしいよ。」
遥の新技は俺お想像を上回るものだった。
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