第207話 夢
シメリアside
夢を見たわ。
剣を持った男性に斬り殺される夢。
そこで目が覚めるの。
お薬を飲んだ朝はいつもそう。
体は軽いけど気分は最悪だわ。
一度お医者さまに相談したら、お薬の原料になった魔石を持ってい魔物の記憶の残滓が残っているのだろうと言われました。
私の為に魔物が殺されるの?って聞いたらそんな事はないよ、魔石は魔道具などにも使われているからね。と言われたわ。
でも魔物に私は生かされていると夢を見るたびに感じてしまうの。
私がこの病気に罹ったのは5歳の時。
それからずっとお外に出る事なんてなくて殆ど部屋の中にいたわ。
例のお薬を飲むと少し体が軽くなって動き回れるの。
でも私は他の病気に罹ったり怪我をしたら治らないらしいのでお屋敷から出ることは許されなかったわ。
お薬が切れてくると起きてることさえ辛くなってくるの。
でもお薬の飲み過ぎいけないらしいので少しの間寝たきりになるの。
家政の方にはお世話になったわ。
そんなことを繰り返していたら段々お薬のペースが上がってきて……お父様の機嫌がどんどん悪くなって行ったわ。
多分私は良くないのでしょうね。
その日も悪夢で目が覚めたわ。
今日は火の玉の魔法で丸焼けになる夢。
でもそんな夢見とは逆に今日は嬉しい事があったの。
何と今日はお出かけができるとメイドのミナから教えられたの。
騎士の方2人と、ミナの4人で街の外まで出かけると言われたわ。
館から出たこともなかったのに、初めてのお出かけが街の外まで……。
嬉しいのだけど……。
少し気味の悪さも感じたの。
馬車に乗ったら目的地はルアシーンだと聞かされたわ。
途中までは騎士団の方が大勢で護衛してくれたけど、街が近くなったら護衛の騎士団は帰っていきました。
ミナは何度も声を掛けてくれたけど、騎士の方はおしゃべりはされないみたい。
お仕事だから無駄話はしないのでしょうね。
そしてそれから冒険者登録をして、ダンジョンに向かうと聞かされて、ダンジョンに入ったのだけど……。
その辺りから記憶がないの。
でも夢を見たわ。
綺麗な花が一面に咲く庭園で。
素敵な王子様が、私を抱き抱えるの。
そうしたら私は何故か元気になって。
王子様に抱きつくの。
そんな時に目が覚めたら、私は自室のベッドに寝てて、お父様が私を見て泣いていたわ。
あれ、今までのは全て夢だったのかしら?
でも……。
抱きしめられた温かみは感じるの。
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とにー




