第206話 蘇生
「これはまぁ、失態といえば失態だな。」
俺はデバイスを見ながら呟いた。
蘇生と言うのはファンタジーではそこそこある。
蘇生魔法とかは有名だが時間とか状況とかに制限のつく物が多い。
普通蘇生は蘇生魔法やアイテム、ポーションなどそれを目的とした手段で行われることがほとんどだ。
その場合普通病気が治ったりはしない。
秘宝とかアイテムによる復活だと一回限りだが全快するケースもあるだろう
しかし、俺の蘇生はあくまでもアイテムボックスの修復機能とダンジョンコアによる魂管理。それをデバイスのカスタマイズ機能で結合させると言う合わせ技だ。
修復する際に健康な状態まで戻してしまうのはあくまでアイテムボックスの能力だ。
最初はこの蘇生を公開するか悩んだのだが今回の様な事が起きる可能性が有ったので公開しない事に決めたのだ。
それ故少し記憶をいじる処置も行った。
しかしまさか完全記憶スキル持ちが居たとはな。
それに起きたのがルアシーンと言うのも不味かった。
全てのダンジョンを俺一人で管理するのは不可能なので現在ルアシーンのダンジョンは俺の権能をコピーしたAIに任せてあったのだ。
殆どの事態には対応できるが初めて見る俺の知らないスキル相手では勝手が違った様だ。
さて、子爵に娘さん達は俺のアイテムボックスの中にいる。
当然蘇生済みで娘さんの病気も治っている。
ただ問題はこの事が広まるとダンジョンで自殺する人が量産されることになるだろう。
それは俺の本意では無い。
俺はダグハーツの子爵邸に移動した。
そして門番に俺が来たことを伝える。
アポイントメントは取っていないが俺の面会は最優先にするだろう。
思った通りすぐに中に通された。
俺は子爵に言う。
「今回の件、口外しないで頂きたい。その理由は分かるな?」
子爵は少し考える。
「分かりました。それで娘は、シメリアはどうなったのでしょう?」
「娘さんは今私のスキルの中にいる。ベッドを用意してくれ。」
俺はシメリアの部屋に通される。
「今から、ここにシメリアさんを寝かせる。記憶は少し弄って怖い思い出は消してあるからな。」
「ありがとうございます。」
ハーツ子爵は深々と礼をした。
「後残りの3人はどうする?」
その後は子爵の指示通り残りの3人を解放する。
そしてその後デルラインに連絡を取り口止めをするのだった。
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