第205話 デルラインの推理
子爵side
デルラインは話を続ける。
「俺は今回の事について色々と調べて見た。そしていくつか判ったことがある。」
「まずは最近のルアシーンの冒険者ギルドの冒険者の死亡率の低さだ。最近ルアシーンの冒険者が増えているのは知ってるよな?」
「あぁ聞き及んでいるよ。ギルドハウスも建て直したと聞いている。」
その言葉を聞いたデルラインは指を2本出す。
「2度だ。」
「??」
「建て直しは2回行われている。まぁ2回目は増設の様な物だが、上に階数が増えて中も明らかに変わっていたから建て直しの様なものだろう。」
「ふむ。」
「そしてそれに応じてルアシーンでは冒険者の数が増えている。少し不思議なのは本来なら冒険者が増えて手狭になってから改築なりする物だが冒険者が増えることがまるでわかっているかの如くに改築が行われていることだが、システムとか色々な設備を導入しているので計算は出来ているのだろう。バックにトーレス王国のSランク冒険者がいると言うのは伊達ではないな。」
「ふむ、それで?」
「それだけ冒険者が増えているのに死亡者が殆ど出ていないのだ。」
「成程、それはおかしいな。それだけ人が増えるとダンジョンで救助の可能性は若干上がるが善人ばかりでは無い。死亡案件は対人の方が起きる可能性が高いだろう。つまり冒険者が増えればそれだけ死者も出なければ不思議だ。」
「俺もその通りだと思う。それで細かい調査をして見たのだが、ここ数ヶ月、ルアシーン公国が復興してからだ、ダンジョンで1人の死者も出ていない。」
「それはどう言うことだ?」
「しかし病院に担ぎ込まれたと言う者は俺を含めて少なからず居たので話を聞いてみた。」
そこでデルラインは一呼吸置く。
「そうすると皆大抵言うんだ。俺は助からないと思ったが勘違いだった様だってな。」
「しかもその中に昔指を2本無くしたものがいたのだがその指も治っていたのだと。」
「そこで俺が導いた答えは……ルアシーンのダンジョンで死んだものは生き返る。しかも体の不調は全部回復されてな。」
バルザックは息を呑んだ。
そこには希望が有ったからだ。
「つまりシメリアがダンジョンで死亡すれば……。」
「魔素障害が治る可能性が高いと言うことだ。本来ならもう少し検証を重ねたい所だが……時間が無いのだろう?」
確かにダンジョンに入れるほど動ける時間は既にかなり短くなっている。
これ以上時間をかければこれさえも出来なくなる。
「一応言っておく。この現象はルアシーンの後見人のススムリセイの力の可能性が高い。彼に相談すれば危ない橋を渡らなくても何とかなるかもしれないぞ。」
その言葉に俺は黙った。
正直彼には恩義を感じているが同時に嫉妬心がある。
私は領地を守ることしか出来なかった。
それでもそれなりにはやり切ったとは思ったのだが彼はあっという間にあのボーヤン帝国からルアシーンを取り戻してしまった。
帰順も二つ返事で受けていただき人質を取り戻すところまでお手伝いしてくれた。
感謝はしているが……。
後、もし彼が全く関係なかったら藪蛇を踏むこととなる。
彼はダンジョンを封鎖しても調べることになるだろう。
それだけは避けなければ行けなかった。
私は決断を下した。
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