第201話 ダンジョン悲話
俺はルアシーンに来ていた。
そしてギルドの中から送られてくるドローンによる映像を見ていた。
そこには幼い少女と騎士と思える様な女性と男性の2人組、そしてお付きの家政と言った若い女性の4人組がいた。
どうやらこの4人はパーティを組んでダンジョンに入るらしい。
ギルドでその登録をしていた。
少女の名前はシメリア・ハーツ
年齢は12歳。
冒険者登録はギリギリ出来る。
苗字で分かる通り貴族の子女だ。
体は痩せ細っていて顔色もあまり良く無い。
これから冒険者として活躍して行こう。と言った様にはまるっきり見えない。
ハーツ家は元々ルアシーン公国の子爵で公都ルアシーンの北方に位置する領地を収めている。
ボーヤン帝国がルアシーンを攻めた際にその軍勢を敗走させた実績がある。
ルアシーン公国は大国であった為そう言った領地は少なからずあるのだ。
そう言った領地に帝国はそこに王族が居ない限り交渉によって降伏を促した。
公都が落ちてしまい補給もままならない状況では自治を認める代わりにその申し出を受けるしかなかった。
ルルーナの街の様にただ立地上の理由で攻められなかった街とは違うのである。
そんなハーツ子爵家はクスーラゥがルアシーンを再興した際に帰順したのである。
ススムは人質奪回を指示したので覚えているのだった。
シメリアは当然ストーンランク。
家政の少女ミナはブロンズランク。
騎士風の男ケインはゴールドランク、女のナディアはシルバーランク。
見事にバラバラだがこう言った場合平均に平される。
シルバーランクのダンジョンまで入ることが出来るのだ。
貴族の子息であればそう珍しい情景でも無い。
若い子供に経験を積ませるため少し無茶な鍛錬をさせることは有る。
しかし、この状況は俺が危惧していた状況でもあるのだ。
彼女達はルアシーンから少し離れた中級ダンジョンに入る申請をした。
そしてアイテムボックスカードを受け取りダンジョンに向かう支度に掛かったようだ。
ミナはシメリアを気遣っていてケインとナディアは無言だ。
ケイン達は少し思い詰めてる様子が表情から伺える。
そして、彼等は中級ダンジョンに入って行った。
俺はその様子もドローンで観察する。
俺の予想通りなら……。
ケインとナディアは冒険者ランク以上に強い。
おそらく彼らは冒険者をしている時にスカウトされて騎士になって、さらに研鑽を積んだのだろう。
騎士として強くなっても冒険者ランクは上がらないからな。
2人で魔物をどんどん倒していく。
そしてだいぶ深い層まで降りてきた。
敵の強さも結構上がっている。
魔石ランクで言えば6くらいの魔物だ。
ただ、もしこの状況を他の人が見ていたらとある部分に気がつくだろう。
勿論俺も気が付いては居るが……。
それは俺の危惧を肯定する情報でしか無い。
前衛の二人は後ろの二人を一切気をかけてないのだ。
もし今後ろの二人が不意打ちで狙われたら、この階層ではまず助からない。
本来なら騎士である二人は主君とも言えるシメリアを守る立場のはずだ。
その二人がシメリアに一切気をかけないのは誰が見ても不自然だ。
シメリアに気をかけているのはミアだけだった。
そしてその時が遂に訪れた。
草むらから突然現れた全長1,5メートル程のバッタに似た魔物リドラーが二人に襲いかかる。
先に襲われたのはミアだった。
その凶悪な牙でミアの頭を食いちぎった。
そして呆然とするシメリアをその鋭い四股で貫いた。
他の魔物と戦って、それを倒したあとにケインはそのリドラーを剣で真っ二つにする。
そしてその後。
ナディアと向かい合い二人は剣を抜いて。
お互いの喉を貫いたのだった。
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