第194話 異世界転生
「クロウスブルグに向かうんだろう?一緒に行こうか?」
ここでいちいち行く先を聞くとかまどろっこしいことはしない。
俺は直球で尋ねた。
「はい、是非お願いします。」
うーん、この子大丈夫か?いくら助けたからって簡単に信用しすぎじゃ無いか?
俺はアイテムボックスから車を出す。
まぁ驚くよな……ん、何か驚き方が違う様な。
まぁ元貴族ならアーティファクトぐらい見たことあるか……。
俺が乗車を促すとミーリアは車のドアを開けて後部座席に乗った。
ドアを開けて?
お父さんを反対側のドアから乗せたけど……。
俺は凄い違和感を感じた。
今まで車に何度か他の人を乗せたけど最初から自分でドアを開けたのは春花やイヴ達だけだ……。
クスーラゥ達もシスティーナもバロックさんやグロッグもドアは俺が開けてあげた。
今回もそうなることを予想したのだけど。
ちょっと待て、先程から彼女の反応が微妙におかしかったのは、初めて見る物と言うよりは何故ここに有るの?と言う表情だと思えば合点がいく。
もしかして彼女は地球からの転生者か?
俺やイヴ達が居るんだ、他に居てもおかしくは無いし俺の様な特殊な者も居るんだ、完全な転生者とか居ても不思議じゃ無い。
それならと、車でアニソンをかけてみる。
思った通りこれにも驚いている。
反応的にはイヴ達に近い、ミーリス達は音楽が鳴ることに驚いていたけどミーリアは曲の内容に反応している。
クロウスブルグに着くと俺は駐屯している軍の中を通行してみる。
やはり、兵器に反応しているな……。
しかし、車やアニソンや兵器に反応すると言うことはもしかしたら前世は男性だったのかもしれないな、いや決めつけは良くないな、そう言うのが好きな女の子も居るだろう。そう言えば会社の後輩にも1人いたな…茜ちゃんだったか…元気にしてるかな。
少し昔のことを思い出す。
あの時間軸でなくとも会社は辞めちゃってるわけだから、でも会社とか作ってたら誘ってる時間軸も有っただろうか……。
そんな事を思いながら領主の館に着く。
ミーリアの目的地もここの筈だ。
そこにはかつて城が有った場所に少し大きな館が建っている。
俺達は一緒にここに来た。
そのことに関してミーリアは怪訝に思っている様だ。
まぁ俺は冒険者に見えるだろうから冒険者ギルドに行くとでも思ったかな?
まぁ説明するのも若干無駄なので俺は領主館の前で待っているブルーノに話しかける。
「ご苦労、街の制圧は完全に終了したか?」
「はい、DH様のおかげで忍んでいる間者も処理できました。」
「そこにいるミーリアさんがバンドリューク砦の攻略の鍵を持ってるから伺ってあげて、あぁ本物なのは俺が保証する。あと公爵の件はもう良いからいちいち突き詰めないで。」
「ミーリア…様、ご無事だったのですね。公爵も……言いたいことは有りますがイサム様が言うのであれば不問にします。」
「ブルーノ侯爵お久しぶりです。私はバンドリューク砦に通じる裏道の地図をお持ちしました。」
ミーリアはそう言うと俺の方を向いて尋ねてくる。
「ススムさんは何者なのですか?」
その質問はやっぱり定番だよな……。
ここで「俺は只の冒険者だ。」とか誤魔化しにならない誤魔化しを言うのも定番だけど……。
俺はそんな事はしない。
「俺はトーレス王国Sランク冒険者、特務大臣のリセイススムだ。」
正直に名乗るのだった。
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とにー




