第192話 ハートブレイク
ミーリアside
クロウスブルグ奪回の報は私には衝撃でした。
私以外にドーステンを取り戻そうとしている人が居るのも驚きですが、私が苦労して色々手を尽くしているうちに横から掠め取られたような気がして最初は微妙な気分になりましたが少し思い直しました。
きっと私より前から色々入念な計画を立てていた人が居たのでしょう。
そう思えば納得できる物です。
解放軍のリーダーはブルーノ元侯爵だと言うことです。
私も何度かお会いした事が有りますが父と違って優秀な方とお聞きしています。
情報に寄りますと再興したルアシーンに亡命してそこで力を借りた様です。
その手は私も考えたけどこの街からルアシーンは少し遠く、父も不安定な状況で選択肢の一つとしてに止まっていました。
クロウスブルグが陥落したのは良い事ばかりでは有りません。
この街に帝国の兵が増えてしまいました。
クロウスブルグから逃げて来た兵達とこれ以上の侵攻を阻もうとする兵達。
帝国本土からの増員は無かったみたいですが、次は我が身と考えた周辺の領主が防御の兵を派遣してきたのです。
特にバンドリューク砦にはかなりの戦力が集結していると聞きます。
私がどうしようか思案していると父が何処からかクロウスブルグ陥落を聞きつけて来た様です。
クロウスブルグに行きたいと言ってきました。
またこの人は……とは思いましたが、悪く有りません。
私は昔の資料からバンドリューク砦への隠し道の地図があります。
解放軍は喉から手が出るほど欲しいでしょう。
私1人で行くより父がいた方が信用……はされ無いかも知れませんが本物の証拠には成るでしょう。
帝国兵が多い中馬車で出かけるのは無理ですが、徒歩でも三日有れば着くでしょう。
私は文句を言う父を宥めて街を抜け出しました。
途中父を背負ったりして移動しました。
身体能力も上がっている私には大した苦労も有りません。
旅は順調でクロウスブルグまであと少しと言うところで盗賊に襲われました。
私1人ならこんな盗賊、モノの数では無いのですが。
父の前であまり派手なことは出来ません。
私が思案していると何を考えたのか父が盗賊に向かって殴り掛かりました。
私が唖然としていると父は返り討ちにあって斬られてしまいました。
私は驚きのあまり悲鳴をあげてしまいました。
私だって女の子ですし身内が斬られれば流石に焦ります。
私はあまり回復系は強く無いですし……。
盗賊など問題になりませんがどうしようかと悩んでいる時に私のセンサーに反応が有りました。
反応は近づいてきます。
どうやら敵では無い様です。
「助けて!」
ちょっと望み薄ですが救援を願ってみましょう。
するとその人物は姿を見せました。
その姿を見た時私の鼓動は跳ね上がりました。
『美少年来たー』
歳の頃は高校生くらいでしょうか?
かなりのイケメンです。
どことなく先輩の面影が有るような気もします。
そのイケメンは盗賊達を全く意に介していません。
喚く盗賊達、どうやら襲いかかってくるようです。
ここでお姉さんが格好良く助けたらもしかしてワンチャンあるかもとか思っていたらイケメンは右手を前に出しました。
その手には銃が握られていました。
銃声とともに倒れる盗賊達。
その格好良さに私のハートは一瞬で持っていかれました。
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もう一回続きます
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とにー




