第189話 公爵と調略
フェルナンデス公爵が治めていた領地、そこにはパンドリューク砦と言う要塞があった。
剣呑な山脈を利用した要塞はルナとまでは行かないが難攻不落と言える物でクロウスブルグに侵攻するするには攻略必須であった。
ここが有るためドーステン皇国の攻略は有る程度時間が掛かると思われたのだが……。
フェルナンデス公爵が帝国に寝返ってしまったためパンドリューク砦が帝国の手に落ちドーステン皇国はあっという間に侵略されることになる。
それは帝国の調略が上手かったのも有る。
ここで役だったのもフローザスのスキルだ。
このスキルの恐ろしさは初見で気がつくのはほぼ不可能と言うことだ。
正直ススムでも初見で気がつくのは難しいだろう。
ボーランクの件が無ければグロッグも見逃していただろう。
実は最初はフェルナンデスはそこまで不満を持っていた訳ではなかった。
そうでなければ重要な地を任される事もないし、任されていると言う自負も有った。
それを帝国から送り込まれて側近となった工作員が有る事無い事吹き込んで誘導したので有る。
実際フェルナンデス公爵も才のない人物だったので唆されてしまったと言うことだ。
当時はそれなりの地位を約束されたのだろうが口約束であった為実行されなかった。
せめて書面にしておけばと思うが、そこは口の上手い工作員がもし証拠が見つかったら拙いとか理由をつけて誤魔化したのだろう。
それに引っかかる方もどうかと思うが現代でもどうして引っかかるの?と思えるようなオレオレ詐欺に引っかかる人が後を経たない訳で、口の上手い奴はいるものだ。
フェルナンデスはそのあと小さな街の代官とされた。
一応は権力者だがその街を発展させることも出来ずに燻っていた。
監視も付いており自由には動けない状況だった。
そんな時にクロウスブルグが陥落したとの情報を得たが馬や馬車等で移動しようとすれば人目につき監視にもバレる。
そこで娘のミーリアと街を抜け出して徒歩で移動してきたと言うわけだ。
王族の血筋で有る自分なら必要とされるだろうと言う甘い考えで……。
まぁ俺的には元公爵はどうでも良い。
問題はミーリアだ。
彼女はミーリスの従姉妹に当たる。
ミーリスを支えてくれる人物になるかも知れない。
これは良い拾い物だったなと考えた。
そして先程撃ち殺した野盗だがこいつらはどうやら大きな盗賊団の一味で帝国と繋がっているかまでは分からないが、どうやら元公爵殺害を依頼されて来た様だ。
ミーリア殺害も任務の様だが所詮盗賊だ、若い女で楽しみたかったのだろう。
最初は俺を殺そうとしなかったのも頷ける。
次は盗賊退治と洒落込もうか。
俺は少し楽しくなってきたのだった。
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前回はカミーユに任せたので今回は自分でやろうとするススムだった。
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とにー




