第187話 罠?
クロウスブルグを奪取したということで俺は色々やる事が有るので現地に向かった。
ただしクロウスブルグは南北の街道からは少し離れた場所に有るのでまだ行ったことがない。
故に転移で移動することはできない。
俺は街道沿いに有るルアシーンに行った時に寄った街に転移をしてそこからバイクで向かうことにした。
ヘリとかの方が速いが、少し街道の状況とか魔物の頻度や盗賊の危険性なども確認してみたかったからだ。
途中の街道はそれなりに整備はしてあるがワルフェア周辺とは比べる迄も無いススムはバイクを走らせながら街道をどう整備するかを考えていた。
「ここはもう少し道を広げて皇都迄のメインストリートを作りたいな。」
そんなことを呟きながらバイクを止めてデバイスを見ていた。
その時だった。
「キャーッ!!」
突然女性の悲鳴が聞こえた。
俺はデバイスを確認しながら叫び声の方に向かうと、そこには倒れた男と蹲る女性、そしてそれを囲む7人の男達がいた。
男達は全員雑な防具を付けてあまり高そうじゃない武器を持っている。
とても分かりやすい野盗と言う奴だろう。
見た瞬間一瞬罠を疑ったが思い返した。
見晴らしは良く無い場所だ、俺を確認出来たとは思えない。
それに例え罠だとしても俺に何かできると思えない。
女性は俺を見るなり叫んだ。
「助けて!」
俺はその状況を見て思考加速を使って思考を巡らせる。
女性が拘束されてないのはまだ事が起きてさしたる時間はかかっていないだろう。
悲鳴は男が切られた時に出たものの可能性が高いな。
それならまだ息は有るか……。
俺は男をアイテムボックスに収納する。
絶命して居なくても意識が無ければアイテムボックスには入れられる。
そして俺が男の体をアイテムボックスに入れると突然消えたように見えるためそこに居た全員が驚いた。
ただ女性は俺の方を見ていたため気付いていない。
男達は一瞬何が起きたのか分からなかった様だが周りを見回し俺に気がつく。
「何だお前は!?」
「邪魔しやがったらタダじゃ置かねえぜ。」
そう言いながら武器をチラつかせてこちらに近づいてくる。
「こいつもやっちまえば早いな。やれ!」
リーダーと思わしき男が指示を出すと全員で切り掛かってくる。
俺としてはこんな奴らに剣を振るうことさえ億劫だ。
右手にワルサーが握られていた。
そして早撃ちを見せる。
正直銃声は明らかに撃った銃弾の数より少なかった。
それほどの早撃ちで全ての弾丸は綺麗に野盗の眉間を撃ち抜いていた。
吹っ飛ぶ野盗。
俺はその死体を即アイテムボックスに入れる。
後に残ったのは女性1人だ。
女性は呆気に取られたように微動だにしない。
「大丈夫ですか、お姉さん?」
俺はその妙齢の女性に声を掛けた。
女性の年齢は見た目では判別しづらい。
それでも16歳の俺よりは年上だろう。
そう思って声をかけたのだ。
彼女はその声でスイッチが入った様に動き出し、周りを見回すと俺に尋ねた。
「父上はどこに?」
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とにー




