第182話 人造魔人
帝国side
帝国の南海岸に流れ着いたのは魔人の死体だった。
普通なら魔人の死体が帝国の領土に流れ着くことはない。
正直どんな事情があったのかを窺い知ることは出来なかったが、その死体は帝城に運び込まれることとなった。
そしてその死体を結合した魂の器として利用する案が出されたのだが、それも簡単では無かった。
姿形は似ていてもやはり魔人で有る。
魔人は人の形をした魔物と言う見方も出来て体内に魔石を持つ。
例えばアイテムボックスに入れると修復ではなく分解されるのだ。
とは言え体内組織は人間に酷似している。
融合は不可能で無いと考えられた。
後、実は帝国では魔人の研究も綿密に行われていた。
トーレス王国より魔人の研究は進んでいるのだ。
それは認識の違いが大きかっt。
トーレス王国に取って魔人は脅威ではあるが倒せない敵では無い。
そこまでの脅威とならなければやはり研究は等閑になってしまう物だろう。
事実トーレス王国の覚醒勇者が魔人王を倒した例が幾つか有るのだ。
しかしボーヤン帝国にとっては魔人は相当の脅威だ。
もしトーレス王国を打倒出来た場合直接の相手にもなるわけだ。
研究しないわけが無い。
そんな研究がこの部分で実をつけることとなった
そして人造魔人001が完成した。
しかし。帝国の研究はここでまた壁に当たることになる。
ここで問題になったのは素材の収集だ。
帝国に魔人が攻めてこない以上帝国では魔人の死体は手に入らない。
そこで帝国は大大陸にそれを求めた。
大大陸では野良魔人の襲撃はこちらの大陸よりはるかに多い。
友好国に頼めば死体自体はそこまで苦労せずに手に入ったのだが問題は輸送だ。
海路で輸送するのだが帝国の港からでは片道1ヶ月を必要とした。
作業や補給も含めて2ヶ月半の旅路で有るがそれでいて成功率が低い。
船は大型船が必要になるのでそう簡単には用意できない。
更には沈められてしまうとほぼ全滅になるので船員の補充の方が深刻だ。
船旅の成功率は船員の質に比例するのだ。
皇帝がルナを欲しがったのもこれが理由だ。
それでも何度かのリトライを繰り返して調整中の物も含め30体の人造魔人を用意できた。
さらなる覚醒勇者対策も有る。
帝国の総攻撃は始まろうとしていた。
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