第181話 帝国の研究
帝国ではおよそ30年ほど前。
侵略戦争を開始する前から様々な研究がされていた。
いずれ戦うことになるトーレス王国の覚醒勇者に対抗するための研究だ。
例のアーティファクトもその研究の成果の一つで有るがあくまで小細工の一つであった。
帝国の研究の最大の目標は覚醒勇者に対抗できる戦力を作ることなので人体改造なども取り組んだ。
本来戦力というものはステータスとスキルによって決定する。
スキルはスキルオーブにより取得することが出来るがスキルオーブが有れば誰でもスキルが憶えられると言う物では無いのだ。
実は全ての人間には存在値と言うものが有る。
その存在値を超えるスキルは憶えられないのだ。
ただ覚醒勇者や召喚勇者はその存在値が極端に多いのだ。
ススムがこの世界に来た時に様々なスキルオーブを購入して使用したが召喚者だから出来たことで有った。
逆にミーリス達をスキルで強化出来なかったのもこれが理由だ。
この存在値は才能もあるが戦闘などの経験でも上がる。
ただこれはレベルとは少し違う物で一度に大量の経験点を与えてレベルを上げても存在値は増えない。
この存在値を人為的に増やす方法は無いのかに思われたのだが……。
実は帝国には一つだけ方法があった。
それは皇帝にユニークスキルで有る『吸収』を利用した方法であった。
皇帝のスキルで有る『吸収』は敵を魂ごと吸い尽くしてしまう。
そしてその力を自分の物にしてしまうのだがスキルがランクアップした際にその魂を貯めておく事が出来る様になったのだ。
そしてその貯めた魂は存在値が加算される現象が発見されたのだ。
後はその魂を肉体に入れれば人工の覚醒勇者が作れると考えたのだがそこからは上手くいかなかった。
肉体に入れるための術式はかなり難解な物で有ったが天才と言われる研究員のお陰で何とか完成できた。
ススムは簡単にやっている様に見えるが神様の与えたスキルの結晶であるデバイスのバックアップが優秀なので簡単に見えるだけなので有る。
しかし、まだまだ困難は続いた。
合成した魂を普通の肉体に入れようとしても肉体の方が持たないので有る。
相当優秀で強靭な肉体を用意しても駄目で有った。
覚醒勇者の肉体が手に入れば問題無いと思われるのだがそう簡単には行かない。
せっかくの技術もお蔵入りになってしまうかと思われたのだが……。
大陸の南海岸に流れ着いたものが研究を劇的に動かすこととなった。
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