第180話 会議は踊る②
帝国side
皇帝宮の会議室では様々な議案が検討され決議されていたが戦況という物一つを見るなら停滞しているとしか言えなかった。
細かい議案は幾つか議決されているがトーレス王国に対して有効な策が懸案されるかと言うとそうではなかった。
先日の魔人王の死は当然帝国にも伝えられていた。
会議ではその事にも触れたが、そこでも意見は二つに分かれた。
魔人が攻めてくる前に出来るだけトーレス王国の戦力を削って行きたいと言う軍部と、戦力を貯めて魔人の襲来に合わせて一気に攻めるべきだという戦略部の二つだ。
軍部としては有る程度成果を示しておきたいと言うのがある。
しかし何の策も無く総攻撃というのは軍師には認められるものでは無い。
そう言う点では戦略部門の言う魔人の襲来に合わせて攻撃と言うのは理にかなっている様に見える。
ただこの策にも問題がある。
それは、魔人は味方では無いと言うことだ。
魔人は主義主張で攻めてきているわけではない。
故に上手く挟み打ったつもりでも、いなされこちらに押し付けられる様な策を用いてくる可能性もある。
先に攻め込んでトーレス側が策を練る余裕を無くすと言う考えもまるっきり間違っているわけでは無いのだ。
会議は何度かの停滞状態になっていた。
そして……。
一般の会議室の更に奥。
皇帝とその側近だけが集まる特別室がある。
そこには皇帝の他にいつもの4人。グルーぜ、フローザス、リロード。そして仮面の男以外に後2人。
如何にも研究員と言った感じの白衣を着た男が居た。
皇帝が話を切り出す。
「小細工は失敗した様だな。」
「はい。まぁ大方の予想通りですな。」
初老の男フローザスがニヤリと笑って話し始める。
「小細工は他にも幾つか仕掛けてありますが……あくまでも陽動ですからな。」
「それで計画は進んでいるのか?実験はどうなんだ?」
グルーゼが白衣の男に尋ねる。
「既に成果は出ております。実戦に投入したい所ではありますが……。」
白衣の男のうち眼鏡をかけた男が答える。
「データー的には充分な戦力だと思われます。」
もう1人の背の高い痩せた男が補足する。
「まぁ待て、実践テストはあくまで投入寸前に行う。どうや向こうも諜報には力を入れている様だから情報が漏れてしまうのは避けたいのだ。」
リロードが諜報部としての見解を話す。
「これならトーレス王国に一泡吹かせてやれるだろう。ともかく数を用意するのだ。」
皇帝が指示を出すとその場にいる者たちが平伏する。
「ははー、畏まりました。」
そしてその場は解散となった。
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帝国に不穏な動きです。
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