第179話 会議は踊る
帝国side
皇帝宮の会議室には相変わらず報告の兵がひっきりなしに訪れている。
今も先日行われたトーレス王国に対しての策略の経過が報告されていた。
先日の策略は前々から計画されて絶賛進行中の策であった。
本来の予定ではもう幾つかの領地を籠絡して同時多発的に行う予定だった。
しかし、たまたま最初に籠絡できたのが話題のワルフェアの領地の隣であったのが理由で前倒し的に発動させたのだ。
これに関しては軍部と計略部門のせめぎ合いがあったのだが、ススムリセイへの対応を重く見る軍部が実行を強行したのだ。
ただ計略部門と諜報部にも弱みがあった。
クース領の調略は出来たのだが次に手間取ってしまった。
クース領調略から時間が経ちすぎてしまったので有る。
この手の調略は時間が経ちすぎると効果を失ってしまうケースがある。
それ故に強く言えなかったのだ。
「クース領を利用してワルフェアから覚醒勇者を引き出す作戦は失敗に終わりました。」
「何の成果もなくかね?。」
軍部の代表が諜報部に尋ねる。
「はい、盗賊に紛れていた諜報員もクース領都で捕捉され自害しまた。情報の報告前であったため状況は分かっておりませんがアーティファクトの回収も出来なかった様です。」
「アーティファクトの回収が出来なかったのは痛いな。しかしと言うことは現れたのはススムリセイでは無かったと言うことか?」
「どうでしょう?自殺は自爆によって行われたので詳細は分かりません。」
「自爆にアーティファクトが巻き込まれた可能性か?まぁトーレス側に渡るよりは良いが……。」
沈黙が会議室を包んだが、重い空気を感じた軍部の男が話を変えた。
「ススムリセイに関しての情報はどうなっているのだ?」
すると諜報部の男が話し始める。
「ススムリセイに関してはいくつか情報があります。まず奴のユニークスキルは『召喚術』で間違い無いかと。しかし普通の召喚術ではなく様々なものを召喚できる様です。召喚獣だけでなく戦力やアーティファクト、様々な資源も召喚できると言う話もあります。」
「それは確かに脅威だが、召喚術には代償が必要だ。無限に呼び出せるわけでは有るまい。」
「そこですね。今まで彼自身が直接前面に出て戦った例はあまり有りません。」
「と言うことは次に奴が召喚術を使った時がチャンスだな。」
「将たちに周知させろ。畳み込む事が大切だとな。」
的を微妙に外した会議は続くのであった。
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