第176話 ブランシェ
俺はダンジョンのマスタールームで各地からの報告をデバイスで読んでいた。
先程までブランと遊んでいたので気力は充実している。
そう言えば先日シルビアからドラゴンの王女がブランに会いに来たいって言ってたって知らされたな、良いよって言ったおいたけど。
一応来る前に連絡するように言っておいたけど……。
まぁ準備が出来たら連絡してくれるって言ってたから大丈夫だろう。
ただあの種族は時間の感覚がおかしいから実際はいつになるか分からんがな。
そんな事を考えていたらマスタールームの入り口に誰か気配がした。
誰だ?
この階層に直接来れるのは花栄かスペーディアのみだ。
しかし、その2人は今ルアシーンに行っている。
俺に何の連絡もなしに戻ってくることは有りえない。
イヴや春花でもまだ転移は出来ないのでここに直接は来られない。
そこで俺は有ることに気が付いた。
先ほどシルビアについて考えていたじゃ無いか。
「ブラン、入っておいで。」
こちらを覗く様に見ていた少女がその声を聞くとぱあっと言う笑顔になりススムに向かって駆け寄ってくる。
「パパーー。」
抱きついてくるブランを抱き止める。
可愛らしい人間で言えば10歳くらいの姿だ。
今丁度一歳ぐらいだからもう一年もすれば成人になるのだろう。
俺がこの世界に来てからも大体一年か。
短かったのか長かったのか?
まぁ色々有ったな。
俺はブランを抱っこしたままマスタールームを出る。
そしてブランを降ろすと優しく尋ねた。
「ブランは自由にその姿に成れるのかな?」
「うん、成れるよー。」
「じゃぁ大きくはなれるの?」
「うん。成ってみる?」
「お願いするよ。」
「わかったー。」
そう言ってドラゴンの姿になるブラン。
全長10メートルは大きいと言えば大きいが、ドラゴンとしてはまだまだ成長期なのだろう。
「じゃぁさっきの姿になれるか?」
俺が尋ねると「クー。」と一鳴きして人に姿になった。
ドラゴンの姿では言語は喋られない様だ。
「その姿でいるのは大変じゃ無いのか?」
「だいじょうぶー。」
ちょっと舌足らずだがしっかりした言葉を話す。
カミーユより言葉がしっかりしてる。
俺は最下層にブラン用の家を建ててあげる。
「今度遊びに連れて行ってあげるな。」
「うん、パパ、大好き。」
良い笑顔を見せるブランの頭を俺は撫でてあげた。
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