第173話 イヴの呟き
イヴside
「はぁ。」
私はため息をつく。
何だか最近春花の方がススムさんの役に立ってる気がする。
ススムさんも春花に用事を頼むことが多い気がする。
確かに春花のスキルは使い勝手が良いものね。
私のスキルが使い勝手が悪いのは理解している。
私のスキルで倒せない敵はいないけど倒すべき敵もいない。
精々21、22層で魔物を倒してススムさんの財政に協力するくらい……。
ススムさんが私を大事にしてくれるのは分かる。
この間も和種さんが戦争参加してないからと盗賊退治をさせられてたけど……。
私も戦争参加してないのだけど……。
勿論戦争をしたいわけじゃ無いけど。
他の子達に疎まれて無いかしら?
少し心配になるわ。
ススムさんがスキルは熟練度を上げることで成長するって言ってたから、私も下の層でサウザンドライトニングブレイクを1日一回は撃つ様にしているの。
そのお陰で私のレベルは今召喚勇者の中で1番高いわ。
スキルもファイブライトニングアローの他に、レベル6のファイブライトニングスピアーも覚えたわ。
割と使い勝手の良いスキルだけれど、私だと単独行動には向いてないのは分かる。
このことをススムさんにそれと無く言ったけれど、魔人との戦いになったら私の力も必要になると言われました。
今はビルの屋上にいます。
ススムさんは今日も忙しいみたい。
私はここで貸してもらった召喚獣を召喚します。
鷲の頭を持つ有翼の獣、グリフォン。
胸のところがフサフサしていて気持ちが良いわ。
私が飛び乗るとグリフォンは空高く飛び上がった。
この世界はまだ自然が多くて、空気が美味しい。
景色も見事な物です。
グリフォンは森の上や山脈の上を滑空する。
そう言えばドラゴンの領地には近づかない様に言われてましたね。
ただグリフォンもその辺は分かっている様でローザンス山脈の方には行こうとしない。
ここはワイバーンの巣からも離れているためグリフォンの飛行を遮るものはいない。
私は大空の散歩を堪能した。
今度ススムさんも誘ってみようかな。
そして今私はダンジョンの22層にいた。
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ススムside
俺は状況の確認の為、ダンジョンのマスタールームでデバイスのディスプレイと睨めっこしていた。
と、その時だった。
オンラインショップに表示されている資産メーターが1000億円ほど一気に増えたのだ。
俺はちょっと驚いた。
流石にこの金額が一気に動く様な取引が俺に聞かされていないわけはない。
イヴのサウザンドライトニングブレイクで22層の魔物を上手く巻き込んでも50億がやっとの筈だ。
そう思った時にドローンからの報告があった。
イヴが意識を失って倒れたと言うのだ。
俺は大分取り乱して22層に飛んだ。
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イヴside
ファイブライトニングスピアーはスキルのダウングレードなのでさほど苦労せずに使えるようになった。
でも他のみんなはスキルのアップグレードに取り組んでいる。
私だって負けてられない。
そう思った時に一つのイメージが湧いてきた。
そのイメージをこの22層で解放してみる。
最近は春花も花栄さんも忙しくて22層の魔物は溜まっている様だからちょうどいいかな。
インスピレーションを元に呪文を唱える。
『ミリオンスター・ライトニング・バースト』
それは電撃の核爆発とも言える物だった。
それも、一回では無い。
その名の通り一万回の爆発。
時間にすると一分間ほどでで有ったがまさに次元さえも歪める衝撃と熱量が50キロほどと思われる範囲で荒れ狂った。
当然範囲内に生きる者などいない。
ただ不壊の存在で有るドローンだけが彷徨いていた。
私は一瞬魔力切れになり意識を手放した。
「大丈夫か、イヴ?」
ススムがイヴを抱き起こす。
「はい、レベルも上がったので意識を失ったのは一瞬です。」
「心配させるな、新しいことを試すのなら一緒にいる時にしてくれ。」
「分かりましたススムさん。ありがとうございます。」
「イヴは俺の大事な女の子だからな。」
「ススムさん……。」
そうして2人の影は重なった。
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なろうものアニメ見てもやっぱり面倒ごと避ける主人公多いですよね。
ススムはむしろ面倒ごとを自分から呼び寄せて解決していく主人公で有りたいですね。
少しでも面白いと思われましたらモチベーションにもなりますのでブックマークや評価をよろしくお願いします。
とにー




