第171話 内通者
春花side
カミちゃんを見送った後私は村民が集まっている場所にシーラと一緒に行く。
村民は広場で盗賊に渡すための資産を準備していた。
と言っても収穫期は過ぎているため、備蓄された食料や僅かな金銭になる。
やっぱり盗賊の目的は村じゃ無いよなぁ。
ススムお兄ちゃんは当然そのことは気がついているんだろうけど……。
まぁあのススムお兄ちゃんの事だから全てに手を打っているんだろうから問題ないか。
私は私のやることをやろう。
広場に着くと私は大きな声を出す。
「はいはいはい、撤収してー。もう盗賊は来ないからここ片付けて良いよー。」
私の声に驚く村民たち。
若い男は殺されてしまった所為か女子供が多い。
「どう言うことですか?」
20台前半と思われし女性が春花に尋ねてくる。
それに答えたのはシーラだった。
「応援が来てくれたんだよ。ワルフィアからCランク冒険者様が。」
「それはワルフェアの領主さまが来てくださったってことかい?」
横で聞いていた年配の女性がシーラに問いただす。
流石に田舎村ではススムがSランクになったことはまだ知れ渡ってない様だ。
「いえ、領主さまではなくて別のCランク冒険者様の女の子が来てくれました。」
「女の子!?」
皆が驚く所に春花が言葉を続ける。
「さっき盗賊のアジトに向かったからもう皆殺しにしてると思うよ。」
「「「おおっ。」」」
皆が驚きと喜びの混じった様な歓声を上げる。
しかし……。
明らかに動揺して青くなっている人物が居るのを春花は見逃さなかった。
「心配なの?」
そう呼びかけたのは1番最初に春花に尋ねてきた女性にだ。
「えっ?」
更に動揺する女性。
「あっいえ、女の子と聞きましたけど大丈夫なんですか?」
女性は誤魔化すように心配そうな顔でそう言った、が……。
「仲間が皆殺しじゃ心配だよね。」
春花は構わず女性に言う。
「え、何のことですか?」
「とぼけて無駄だね。証拠もあるよ。」
そう言って春花は女性が盗賊の見張りと会っている写真を見せる。
「くっ。」
女性は隠し持っていたナイフを春花に向けるが、春花は一瞬でその女性を沈黙させる。
そしてシーラに言ってその女性を縛り付けた。
すると、ススムから連絡が入る。
「終わったみたいだからカミちゃん迎えに行ってくるね。」
そう言って春花は車を出した。
ススムside
捕まっていた少女2人はGランク冒険者だった。
どうやらワルフェアに向かう途中だったようだ。
クース領の領都で冒険者登録をした様だがあまり冒険者ギルドに人が居らずワルフェアならと移動していたところに捕まった様だ。
まぁここで頑張ってと送り出した。
初心冒険者の救済システムも教えてあげたので大丈夫だろう。
そしてノインは……。
今私の前にひざまづいている。
「お疲れ、レイン。ご苦労様。」
「ありがとうございます。ススム様。」
そう、彼女は虹影だったのだ。
「カミーユ様は凄まじかったです。逃げ惑う盗賊達をあっという間に切り伏せて。あれは立ち向かってくる相手より難しいですよ。思わずちびっちゃいました。」
ちびったとは聞いていたが演技じゃなくてまじだった事に若干引いたススムだった。
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とにー




