第169話 少女
双身同士は意思疎通ができる。
「終わったね。」
盗賊たちを殲滅していた方のカミーユも頭目達を処分したのが分かった。
後は指令通り1人逃すだけだけど、既に1人逃げていることに気がついていた。
私が姿を表した瞬間、脱兎の如く逃げ出した男がいたのだ。
あれは多分何かを知っているのだろうけど、まあ難しいことはススムっちに任せれば良いやとカミーユは考えた。
指令が無ければ追いかける所だけど、1人逃せって言うのだから問題ないのだろうと。
テントの外にいた男たちの殲滅は終わったので、分身を戻してテントに向かう。
分身を戻したのは誤ってテントの中の捕まった一般人まで殺してしまわない様にだ。
一応殺すのは敵に指定はしてあるが、実戦で使うのは初めてだから不安がある。
そしてテントの入り口まで来た時だったテントのこちらからは死角になる場所に気配を感じる。
デバイスで確認すると黄色い点がテントの外に一つあった。
打ち漏らしちゃったかと剣を抜きカミーユはそちらに向かう。
例え何があっても問題ないのでカミーユは警戒などは一切しない。
カミーユがテントの横を覗くと1人の子供が蹲っていた。
「ありゃ。」
カミーユが声を出すとその子供はこちらを見る。
そして尻餅を付くと仰向けのまま後退りする。
「あわわ、助けて。」
少し中性的な顔つきで髪の毛もショートカットな為男の子なのか女の子なのか区別はつかない。
体つきも痩せてるせいかどちらとも見えてしまう。
流石に毒気を抜かれたカミーユはスマホでその子の写真を撮る。
そうすることによりデバイスで簡易鑑定できるのだ。
ノイン 女 12歳
女の子か、これ殺すのは流石になぁ……。
なんか股間の所が湿ってるし。
カミーユはその事をススムに電話する。
「みなして来いって言ったけどどうする?」
「皆殺しって言ったのはあくまで覚悟の問題だからそのくらい見逃しても良いよ。と言っても多分行く場所も無いだろうから連れておいで。捕まってた女の子と一緒に。今春花を行かせるから。」
程なく春花が軽のRVで現れる。
「お待たせ、カミちゃん、任務お疲れ様。」
カミーユはテントの中から2人の女性を助け出して来る。
「かっか、ありっ。」
どうやら盗賊の見習いみたいな扱いだった少女は一応縛ってある。
「ちびっちゃっみたいで濡れてるけど車載せて良い?」
カミーユは春花に確認するが春花は
「大丈夫だよ。アイテムボックスに入れれば綺麗になるし。」
そう答えて微笑んだ。
死体は全て収納してあるのでその広場は血の跡だけがそこらじゅうに残っていた。
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