第168話 分身
「ジャン、ジャーン、ジャーーーン。」
「皆さん、ありがとうございましたー。」
イヴがお辞儀をするとステージのスポットライトが落ちる。その後には万雷の拍手と歓声が巻き起こる。
「お疲れ様。良かったよ。」
ステップを降りてくるブレイバーの皆んなに俺はねぎらいの声をかける。
「イヴの歌が良いのは当たり前として、春花も琴子も素晴らしい演奏だった。そしてカミーユ、お前は難しい役所だけど見事だった。」
「うっ、ススムP、そんなに褒めても何も出てこないよー。」
カミーユが照れているので俺絵は言葉を続ける。
「もう双身も完全に制御できるな。では応用編と行こうか。」
「応用編!?」
あれキツかったなぁ。
思い出したカミーユは冷や汗をかく。
現状6人ほど殺したが後40人以上いるし盗賊はもう及び腰だ。
ちょっと派手にやり過ぎちゃったか……。
反省点だが気にしない。
多分散らばって逃げられると開けているので少し面倒だ。
「疲れるからあんまやりたく無いんけどなぁ。」
そう言いながらもやるとなったら躊躇しない。
カミーユは少し集中すると分身を更に三つ出した。
これは実体のある分身ではあるがあくまでも分身なので本体を倒されると消える。
それにまだカミーユはこの分身を細かく操作はできない。
カミーユは分身に敵を殺すとだけ意識づけして自分は回り込む。
そしてその名の通り殲滅していった。
盗賊達の阿鼻叫喚が響き渡る。
何事かとテントの中から外に男が出てきた。
そして外を見て唖然とする。
「お頭、襲撃です。」
男はテントに戻って声を上げる。
テントには頭目とその側近らしき男が5人ほど、後縛られた2人の女性が居た。
「相手は何人だ?」
側近の男がその男に聞く。
「見たところ4、5人と言ったところでさあ。」
「4、5人?」
頭目は訝しむ。
Cランク冒険者にしては多いし、討伐の軍にしては少ない。
そこで物見した男が言った。
「あっ、でも見たところ皆んな同じ顔していたような……。」
それを聞いて側近の男がお頭に言う。
「もしかしてCランク冒険者のスキルかも知れませんぜ、あいつら分身とか平気でするから。」
「馬鹿野郎、それなら急いで逃げるぞ。」
頭目が言うと、側近の男が縛られている女性を指して、
「これはどうしますか?」
と聞いた。
聞かれた頭目は少し考えると、
「人質にはならんな、連れていく選択肢は無いとしてそのまま置くか殺してくかだが殺すよりそのまま置いてったら保護するために時間とかが稼げるかもしれん。置いてくぞ。」
そう決めたら早い。
盗賊のお頭達は先ほど物見が見た逆の入り口から外に出る。
そして林の方に向かって走り出した。
しかし……。
「あっやっきた。」
林の手前から声がした。
「遅いから来ないかと思った。」
認識阻害してあるのでちゃんと見ないと気が付かない。
そんなカミーユがそのまま6人の盗賊を切り殺した。
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とにー




