第166話 村長
「お邪魔しまーす。」
相変わらず春花は元気よく村長宅に入っていく。
その後ろをシーラとカミーユが続いていく。
そこには如何にも村長と言う感じの老人がいた。
彼が村長なのは一目瞭然だ。
村長は突然入ってきた少女たちに驚くもののシーラを見つけてホッとする。
「村長、今帰りました。」
「シーラお帰り。この方達は?」
「この方達が応援の冒険者様です。」
「冒険者様?」
村長は2人の少女が応援と言うのにも驚くがシーラが様付けで読んだことも気になった。
そこに春花が否定する。
「あ、応援は彼女1人だから私はお手伝いだと思ってね。カミちゃん、冒険者カード見せて。」
「うん。」
カミーユが冒険者カードを見せると村長は、
「Cランク冒険者《お貴族さま》!?」
と驚いて土下座した。
「お貴族様とは知らずに申し訳ありませんでした。」
頭を下げたまま震えるように話す村長。
流石に村長ともなるとCランク冒険者についての知識は有る様だ。
ただ見たこともあった事も無いのだろう。
実際のCランク冒険者は貴族だからと偉ぶるものなど皆無なのである。
「ちょ、それはいーから。それで盗賊っちは?」
「それが……財産を纏めるのに1週間の猶予を言い渡されて期日まで後二日なのですが、その間に来たのは救助を求めに行った男達を殺したと言って遺体を持ってきた時だけです。」
「どこに居るかは解らないのかな?」
「はい。その通りです。」
「えー、どーすんの、かっかー?」
「流石に二日は待ちたく無いねぇー。」
春花はアイテムボックスカードからノートパソコンを取り出した。
そしてマップアプリを起動する。
ノートパソコンのディスプレイにこの辺の地図が表示される。
そこに黄色い点がいくつか現れる。
100mほど先に一つ、東南に1キロ程の場所に50ほどの点が有る。
「んー盗賊いる場所はわかったかなぁー。」
「さすがかっか、で、どこ?」
「ここから東南に1キロかな、カミちゃんのスマホにデーター送るよ。」
「かっか、あり。じゃぁみなしてくるね。」
「あっ、待ってカミちゃん。ススムお兄ちゃんから指示が来てる。」
「ススムっちから?」
「1人逃せって。」
「りょ!」
「じゃ、こっちのは要らないか……。」
「ん、なんか言った?」
「何でも無いよー。じゃ、カミちゃん頑張って。」
カミーユは村長宅を出るとスマホを見ながら走り出す。
彼女の身体能力は覚醒勇者の中でもトップクラス。
素で200オーバー。
レベルが上がった今では300近いステータスがある。
認識阻害のスキルを使いフルスピードで走る彼女を認識出来るものは居なかった。
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とにー




