第158話 ダブルオー
「お待たせ、調子はどうだい?」
ルーレットをやっていた俺にスーさんが話しかけてくる。
俺の預かったコインはほとんど変わっていない。
それもその筈、俺は二倍の掛けを繰り返して勝ったり負けたりしていただけだ。
それでも十分楽しめた。
「当たったり外れたりしていたよ。」
そりゃそうだ、確率的には二分の一、0と00があるから正確には60分の29か?
「なるほどなぁ、でももう少し派手にやっても良かったんだぜ。」
スーさんはそう言った後。
「借りるよ。」
と言ってコインを5つ俺が持っていたコイン入れから取り出す。
いや、借りるも何もスーさんから預かったコインだろ。
そしてスーさんはその5個を00の所に置いた。
64倍のマスだ。
ボールは既に投げ込まれている。
まぁ5枚くらい良いのかなとも思ったが、10回くらいの回転を終えた後、ボールは00の枠に吸い込まれていった。
「ついてたね。そのコインはグロッグが貰ってくれ。」
コインでいっぱいになったケースが俺の前に有る。
「悪いよ。」
俺はそのケースを返そうとしたがスーさんは従業員に指示して俺の物として登録してしまう。
「また来た時使えば良いさ。そろそろ行こうか。俺も今日の飲み代くらいは稼いだからな。」
そう言ってスーさんはカジノから出ると車に乗り込んだ。
少し走ると派手な装飾をしたお店の前で車を止める。
看板が光っているのは凄いな。色も綺麗だ。
スーさんに続いて店に入るとそこにはたくさんの綺麗なお姉さんが出迎えてくれた。
「「「いらっしゃいませ」」」
胸がはだけた様な服にドギマギしてしまう。
まさかの綺麗なお姉ちゃんのお店である。
皆さんお辞儀をしてくれるが谷間がちょっと見えそうになって視線が思わずそこに行ってしまう。
俺が見惚れていると一番手前にいた美女がスーさんに話しかける。
「スーさんいらっしゃい。いつもに席で良いかしら。」
「あぁ、今日は連れが居るからこれで。」
そう言いながらスーさんは手の指を4本立てる。
「分かりました。」
美女はお姉ちゃん達に指示をする。
通された豪華なソファーに俺とスーさんは結構離れて座る。
どう言うことかと俺はスーさんに聞こうと思ったが理由はすぐに分かった。
俺とスーさんの両隣に2人づつ、合計4人の女の子が俺達に付いたのだ。
こんな贅沢なことをしていくら掛かるんだろう?
俺はそれが心配で出されるお酒を女の子の話に相槌を打つだけで静かに飲むことしか出来なかった。
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とにー




