第154話 蘇る記憶
「おいおい、ミーリスちゃんのパーティがなんか地味な男連れてるぜ。」
「パールお姉様のパーティに男が入るなんて信じられないわ。」
「我ら“クスーラゥ様に蔑んだ目で見られたい会”の会員からするとあの男が心底羨ましい。」
「いや、ただのパーティメンバーだと思うけど。」
「あんな凡庸そうな男、役に立たなくてきっとクスーラゥ様に蔑んだ目で見られるに決まってる。あぁ羨ましい。」
「しかしあの男大丈夫か?ススム様に殺されるんじゃぁ?」
「馬鹿!あの神人とも言われるススム様が知らない訳無いだろう。と言うことは……解るな?」
「成程、ススム様の指示か……と言うことは触れない方が正解か……。」
ボソボソと呟かれたり、ある場所では大声で騒がれたりして居る。
俺達は今注目の的になっているのは鈍感な俺でも解る。
この3人は有名人なんだろうか?
来たばかりの俺にはよく分からないが、見たこともない様な美少女達だから有名なんだろうなと思うしかなかった。
今からダンジョンに向かうと言うので受付に並ぼうとしたら一番端の受付が専用だと言うのでそこでカードを渡された。
これがアイテムボックスカードか……。
噂だと凄いものらしいな。
そして俺達はダンジョンに向かう。
俺は前衛の戦士だ。
美女の方は同じ戦士だそうだ。
少女達は後衛だそうでバランスは良いな。
ダンジョンはギルドハウスからすぐの場所に
門が有る。
「グロッグさん準備は良いですか。」
パールと言う女性が聞いてくる。
「問題ないよ。」
俺は答える。
先程自己紹介した時に名前は聞いている。
パールは一見冒険者とは見えない格好をして居る。
貴族の元にいる女性家人の様な格好だ。
残りの二人、ミーリスとクスーラゥは普通の後衛の冒険者の格好だ。
3人揃っているとアンバランスでは有るのだがそれを含めてとても目立つ。
移動中も随分注目を集めていた。
門を潜り中に入ると少し大きい待機部屋になって10個ほどの扉がある。
説明にあった様に一つは一層の扉で残りはエレベーターになっている。
俺達はエレベーターに乗って7層に降りる。
そしてエレベーターを降りるとそこには10個の扉があった。
「今日はここで狩ますね。」
そう言ってパールがその内一つに入っていく。
俺達はその後に続いて扉に入ったのだが……。
中に入った瞬間、俺の記憶が蘇った。
雷に撃たれた様に立ち尽くす。
俺はここに情報収集用に派遣されたものだ。
しかし、今はそれを気が付かせるわけには行かない。
俺は普通に振る舞おうとした。
しかし、その様子を隣でじっくり観察されていることには気が付かなかった。
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