第151話 ワルフェア侵入
場面は変わって皇宮の奥。
皇帝の座る椅子の前にある机には3人に男が付いている。
そして報告をするためか仮面を付けた男が立っている。
皇帝から向かって右側にいるのは軍部長官のグルーぜだ。
そして左側にいるのは軍師兼魔術顧問のフローザス。正面の男は情報統括のリロードだ。
仮面の男が話し出す。
「ススムリセイが治めているというワルフェアへの侵入ですが、失敗しました。」
その報告にはグルーぜも驚きを隠せない。
「何と、お前達闇の牙でも侵入出来ないのか?。」
「かなり厳重なセキュリティを施している様ですね。」
既に報告を受けていたのかリロードが補足する。
「正門にサーチ持ちを置いている様です♪」
「聞いたところによるとかなりの冒険者が流入しているそうだが冒険者に偽装してもダメかね?」
フローザスが尋ねるがリロードが首を振る。
「偽装は通用しない様です。そこでフローザス様のスキルをお願いできないかと。」
「ふむ、ワシのスキルは少々制限が厳しいが、どちらにする?」
フローザスのユニークスキル『夢蟲は記憶を操るスキルだ。
対象の記憶を操って他の人格を植え込む。
そして何かのトリガーでそれまでの事を思い出すのだ。
ルナに居るボーランクも彼のスキルによって操られていた。
ルナに赴任した時のボーランクの態度は演技ではなかったのでグランデンにも見抜けなかったのであろう。
ただしこのスキルは対象を選ぶのだ。
このスキル用に教育をするか、それとも能力の低い者か。
スキル用の教育がされていない優秀な者にこのスキルを掛けようとすると力が反応して失敗するのだ。
「今用意できる手頃な訓練者は居ないので凡庸な冒険者を用意します。トリガーはダンジョンに入った時でいかがでしょう?。」
「彼の地の冒険者はほとんどがダンジョンに入ると聞いています。それで問題無いでしょうが……凡庸な冒険者に情報収集が出来ますか?」
「現状情報が少なすぎるのです。ワルフェア内部の情報は重要かと考えます。」
このスキルの使用にはかなりの力を使う。
本来なら教育された人材を使いたいところではあったが……。
フローザスは用意されたFランク冒険者にスキルを行使するのだった。
Fランク冒険者グロッグはワルフェアの街に辿り着いた。
そして入り口の入国待ちの列に並ぶ。
現在ワルフェアには1日2000人もの通行者がいる。
その為に門が7つもあるのだ。
グロッグの前には20人ほど並んでいたが証明書やギルドカードを持つものはさして待たされない。
順調に列は消費されグロッグの番となった。
ギルドカードを提示するグロッグ。
特に問題もなく中に入ることができた。
そして指示されたバスに乗ってギルドハウスに向かうのだった。
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