第150話 帝国の対応
ボーヤン帝国帝都トルマキア
皇宮にある会議室にはひっきりなしに報告をする兵が訪れていた。
国のあちらこちらに大きな建造物が現れて映像を流した。
そしてそれは帝都でさえもである。
色々な都市から報告が入る。
ほぼ主要都市全部の広場にモニターが現れたと言うことだ。
この事から分かることは、王国の者が帝国の奥深くまで侵入するのを許しているということだ。
今まで帝国は王国を追い詰めていると思っていた。
覚醒勇者は対外には活動できない。
そのことが分かっていたので自分たちが攻められる立場になる事は考えてもいなかった。
ルアシーンに関しても若干のイレギュラーだがいずれ物量で押し切れると楽観視していた。
そんな者達が殆どだった。
今回の件で分かったことは、何か強力なスキルか魔法が使われていると言うことだ。
今までも検問などを使って人の出入りなどは注視していた。
しかしそれはあくまで一般人に対してだ。
覚醒勇者のスキルを防げるものでは無い。
都市に関してはそう言った防備がされることが検討されたがなにしろ帝国は広い。
帝都主導で防備を固めると言った支援を全都市に行うことは不可能だった。
故に帝都周辺のみ防備を固め、他の都市はその都市で出来る限りの事をすると言う形で落ち着いた。
すなわちその対応は都市によってまちまちと言うことになった。
予算が膨大になった理由には今回帝都の中にも建造物が出来た事にある。
これを問題視した軍部は帝都全体に皇宮と同じ設備を整えることとした。
貴重なスキルと魔法感知のアーティファクトの範囲を帝都全体に広げたののだ。
これには高価な設備の他に膨大なエネルギーが必要となった。
半端無い魔石が消費される事になり、それが防衛費用を押し上げる事になっていた。
これだけの防備をされるといかなDHでも活動できない。
勿論スキル使用中のDH自体はこのアーティファクトでも感知されないが、スキルを使用した瞬間や解く瞬間は感知される。
そこから痕跡を辿られてしまうのだ。
防備の話が一段落したところで会議の進行はススムの話となった。
会議でススムリセイとは何者だ?と言う意見が出る。
王国の動向は色々集められている。
その中にススムのことについても幾つかあったが、ドラゴンを倒した事に関してが1番大きい。
ただこれに関しても覚醒勇者とすればそこまで珍しい事では無い。
偉業を成し遂げたとまでは思われていなかった。
これに関しては少し王国と帝国では見方が違う。
王国では正しく正龍とCランク冒険者との戦力差を見極めているので、単独撃破を重く見るが、帝国では覚醒勇者はドラゴンを倒せると言う事実だけが伝わっているので単独かどうかと言うところまでは注視しない。
それ故今までススムに対する情報収集はそこまで重要視されていなかった。
現在大急ぎで情報収集中と言ったところであった。
帝都が防備を固めたり情報収集することはススムの計画通りとなる。
その分帝都から離れた都市に対しては等閑にならざる得ない。
この間にドーステン皇国を取り戻してしまおうと画策するススムだった。
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