第145話 亡命の結果
前回ススムに問われた時は再興を拒んだミーリスではあったが、こんな公の場で視線を一点に集めながら王女様とバレた上で慕ってくれる家臣の前で否定できるほどに剛のものでは流石になかった。
クスーラゥはしれっとしているが、笑いが隠しくれないのか口元が少し震えている。
「引っ掛けやがったな。」
ミーリスは汚い言葉ではあるが心の中でそう思うのだった。
話はブルーノとススムの間で順調に決まっていく。
ブルーノが言うには同じ様に降爵された貴族や渋々従っている商人、騎士などがいる様だ。
ブルーノも何人か心当たりがあるそうだ。
まぁその辺はススムもそこそこ調べていて、それこそブルーノが亡命できたのはススムが手を貸したからである。
つまりこの一連の流れはススムが計画したことだ。
この事をミーリスが知れば怒るであろうが、ススムに言わせれば
「片方だけなのはズルいかなと思って。」
とか惚けるだろう。
ススムは既に次の手も打っていて今回の亡命で影響の出そうな人物の周りには間者を付けている。
今回ブルーノの亡命で疑いを掛けられる元ドーステン国民とか当然いるだろう。
立場が有るものは余計にである。
不都合なことが起きない様に、起きた場合は最悪保護できる様に気を使うのもススムならではだ。
ススムは前にルアシーンの街にいた冒険者に言った。
「自分の手に届くものしか守れない。」と。
ならばその手を広げて全世界まで届く様にして仕舞えば良い。
それをできる様に考えるのがススム流だ。
元ドーステンの領地内にクースイと言う街が有る。
それなりに大きな街でそこにアール商会というドーステン皇国だった頃からある老舗の商店がある。
今回そのアール商会に疑惑の目が向けられた。
実はアール商会自体は今回の件に全く関わっていない。
ドーステンに義理が無いことはないが商売とは切り離して活動できる、真っ当な商店だったのだが、裏で手を回したものがいた。
商売敵のエール商会だ。
アール商会は亡命したブルーノと繋がっていると噂を流された。
実際幾つかの取引がブルーノとの間には有り、それを証拠として提出された。
アール商会の店主は普通の取り引きだと弁明したが提出された書類には捏造された水増しがあり、役人とエール商会との間にも癒着があった為認められなかった。
更には学校に通う娘が何者かに襲われると言う事件があり、商会には不穏な空気が流れていた。
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襲撃事件は何者かの介入があって未遂になってます。
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とにー




