第138話 ランクアップ
クスーラゥを公開する準備が整いつつある中、王宮から呼び出しがあった。
至急来て欲しいとのことだ。
至急と言うなら大急ぎで行ってやろう。
転移が1番早いが王都には対転移結界が有るので使えない。
最速となるとやはりこれだろう。
俺はスペーディアのフライングユニットで送ってもらう。
いや、流石にお姫様抱っこは恥ずかしいので後ろから抱えてもらう形だ。
シールドを張っていけばマッハ20も耐えられる。
それでも覚醒勇者の体力がなければ急制動には耐えられないだろうが。
マッハ20というスピードは秒速にするとおよそ7キロだ。
王都まで直線距離で200キロあるが加減速を考えても王都迄およそ30秒で着く。
短距離転移と違って長距離ジャンプやダンジョンウオークはそこそこタイムラグがかかる。
この距離ならこれが1番早いまであった。
俺はスペーディアを伴って王宮に入っていく。
そこには既に王様が待っていた。
「早いな、ススム。」
「待たせては悪いと思ってね。」
「まぁ前に来るがいい。」
玉座に座ったまま王は俺を呼ぶ。
俺が頷き玉座の前まで行くと王は立ち上がり俺に一枚のカードを見せた。
立派な赤い装飾の上に置かれた、プラチナに輝くカードだ。
「Cランク冒険者ススム・リセイよ、お主をSランクにランクアップする。役職は特務長官だ。国外の軍事に関してはお主に全権を与える。」
成程、今回の件でもだが俺が国外で普通に名乗ることを懸念しての処遇か。
Cランク冒険者は国外では活動できないと言う不文律を体裁的にも崩さないと言う意味でもある。
逆を言えばこれで俺は堂々と公の場で名乗ることができる。
目立ちがりやな俺にとっては粋な計らいだ。
「謹んでお受けします。」
俺は先程までの態度とは打って変わって大仰に受け取った。
ここまでお膳立てしてくれるのならクスーラゥの公開は大々的なものにしてやろうじゃないか。
俺は気合いが入り、お膳立ても更に入念にする。
当初の予定ではモニターの設置は国境の街まででそれで十分帝国に伝わると思ったのだが、折角だから間者が入り込めている限界までモニターを展開することとしよう。
DHならば帝都まで可能だろう。
帝都でモニターを展開すれば連中の度肝を抜けるだろう。
俺は楽しみで笑いが抑えきれなかった。
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とにー




