第123話 メテオレイン
ルルーナの街はボーヤン帝国の西南に位置し帝国から見てこれ以上向こうに有る街はない。
直近としてはルアシーンが北に有り、東側に有る街まではそれなりに距離が離れて居る。
ルアシーンが落ちた時点でルルーナが狙われることは当然予想して居た。
その点秘密裏に陥落したバラックは周りにいくつかの街が有り、普通に軍を出せば周りからわらわらと援軍が集まった事だろう。
帝国も攻められる予想が立つので2万の駐留軍を置いたのだ。
帝国の計算では現在ルアシーンには1万5千の兵が居ると予想される。
今まで見た装備から2万の兵で守り切れるかは微妙だが拮抗するのは予想できるしルルーナを攻めるとしたら全軍が必要になるだろう。
もし全軍を投入するのならその間にルアシーンを落としてしまうという目算があったのだ。
そして、ルアシーンから一万五千の兵がルルーナに進軍したと前線基地として作られた陣地に連絡があった。
現在前線基地には2万の兵がいた。
既にルナが落ちて居ないことが確認されているので周りを囲む必要は無い。
正面から2万の兵を攻めさせた。
攻城兵器も前回の様に大量に用意してある。
それに進軍の指揮はシグワスと言う事なので守備の指揮官もいないと言うことだ。
今回は勝てると指揮官も思って居たのだが……。
街に近づくと弓矢によるお出迎えが有る。
例の覚醒勇者級の者からの射撃だ。
その威力は彗星のごとく兵達は弾け飛ぶ。
だが、分かっていれば怯むこともない。
シールドは一撃で破壊されるが大型兵器のシールド下に居れば即死することもない。
指揮官は進軍を指示する。
だがここで少し異変が起きる。
耐えず放たれて居た矢が一瞬止んだのだ。
そして、若い女性の声が戦場に響き渡る。
「いっくよー、メテオレイン!」
彼女の放った弓矢は空に向かって一条の線を描く。
雲さえも貫いて、まるで大気圏まで突き抜ける様に進んで行く。
そしてそれが消え去った後戦場に雨が降る。
それは無慈悲な隕石による雨だった。
隕石は敵の攻城兵器も、そのシールドに守られる兵さら押し潰していく。
一撃でさえも多大なダメージを与えるメテオが雨の様に降り注ぐ様は敵にとっては悪夢ではあるが、街から見ていれば星が降ってきた様な幻想的な景色であった。
残されたものは幾つものクレーターと、敵兵器の残骸だった。
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