第122話 シトリン
ルルーナの代官
名をイエロと言う。
彼は帝国の貴族の三男坊として生まれた。
彼は小さい頃神童と呼ばれた。
勉強も武術もよく出来きて、特に勉強は語学も数学も優秀だった。
貴族学校を優秀な成績で卒業し将来を嘱望されて居た。
しかし、彼は人付き合いはあまり得意では無かった。
特に上司に対して甘えるとか、教えを乞うとかそういうことが出来なかった。
そのため上司のウケが悪かったのである。
努力家で真面目な性格ではあったので部下から舐められる様なことは無かったが、規律に厳しかったので結構恐れられて居た。
彼は従軍もしたがそこでも上司といざこざを起こした。
彼は物事を強く言ってしまう性格だったので上司を諌めたのが気にいられなかったのだ。
そんな理由で彼は優秀で有りながら前線からは外されることとなった。
そしてイエロはルルーナの街の代官として赴任する事となった。
正直いえばルルーナはそれなりに大きい都市でそこの代官と言えば彼の身分としては出世である。
帝都から離れた土地であることや線戦から離れていることを除けばかなりの好条件ではあった。
それは上司の中でも僅かにいた、彼の歯に衣着せぬ言動を好ましく思っていた人物からの温情であった。
イエロは周りの人間や部下には左遷された事についてブツクサ文句を言ってはいたが内心はその温情に感謝して立派に勤め上げようと考えて居た。
この土地はルナから近いこともあり割と重要な土地であることは確かなのだ。
彼が赴任した際に帝都からの指示で各重要施設の長を切り替えると言う政策を施工した。
元長を平民に落とし監視する。
しかし、彼はそれが不満だった。
彼は生粋の合理主義者だ。
長であったものは優秀に決まっている。
そんな人材を遊ばせて置くのは彼の主義には合わない事だ。
合理的に説得すればきっと納得して市政に協力してくれるだろう。
そう考えたイエロは元長達を集めて説得を試みた。
しかし彼はあまり人の心を解ろうとはしない。
彼の理論だけを聞かされた元長達はその説得を受け入れることは無かった。
あまりに言うことを聞かない、自分の立場をわきまえて居ない元長達にイエロは癇癪を起こした。
「貴様達など必要ない!」
などの強い言葉も発した。
しかし処刑をするなどとは考えなかったのだが、普段冷静であるイエロの変貌に部下が怯えてしまった。
その時たまたまいた頭の悪い処刑官に処理を頼むと言ってしまったのである。
その部下も彼は処刑官でなく牢屋の番人だと勘違いしたのもあった。
処刑官は処刑官で確認を一切行わなかった。
不幸なボタンの掛け違いであった。
処刑を後で知ったイエロは愕然とした。
部下としてミスはあったものの責任は自分に有る。
そこで部下の所為にしない清廉さが彼にはあったのだが、本部や街には不器用な説明しかできなかった。
イエロの最後の言葉も実は本気で反乱者を慮ってのものではあったが、それを理解してくれる者は居なかった。
いや……。
実は1人いた。
ルルーナは結界で包まれて居て、結界作成に使用した宝玉はダンジョンコアと同じ性質を持ってるんだよね。
あの玉はダンジョンコアのコピーだ。
魔術を増幅すると同時にデバイスに繋げる役目を持っている。
だからこそエネルギーをデバイスで賄うことが出来たのだ。
だから……。
彼の魂はデバイスの中にある。
死体は気を利かせたDHがアイテムボックスに入れて居た。
つまり、彼を生き返らせることができる。
いや、内政で優秀な者ってなかなか得られないんだよね。
文官を買っても読み書きできる程度の物が多いし当たりはほとんど出ない。
側近として役立ってもらおう。
だとするとやっぱり性別は……
そして秘書2号
シトリンが生まれた。
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とにー




