第120話 結界
ここにいる4人は皆信頼して居た上司や身内を処刑されたもの達であった。
ジーンもお世話になった師匠でもある商工会長を処刑された。
彼の場合は目の前でである。
シルワーズとは違って戦う術を持たない彼にはどうすることも出来なかった。
それだけにルナからの宣戦布告には小躍りしたものである。
書状にはいくつかの指示が示してあった。
まず一つは用意されるアーティファクトを街の5箇所に配置する事である。
それなりのサイズになる為、それを設置する場所と理由を用意しろと言う事だった。
場所に関しては商工ギルドが、設置に関しては工廠が担当する事となった。
設置理由は中々思いつかなかったので、冒険者ギルドの対抗装置と言うことにした。
商工ギルドが申請を出したので程なくそれは認められた。
まぁ戦時のどさくさに紛れたと言うのも確かではあるが。
そんな話がまとまった時、その場に5人目の男が現れた。
仮面で顔を隠した怪しい人物ではあったが、シルワーズには面識があった。
ルナの使いであるDH殿である。
「これはこれはDH殿、相変わらず神出鬼没ですね。」
シルワーズが話しかけるがDHは言葉を発しない。漆黒の仮面と相まってまるで作り物の様でもある。
そしてDHはどこからか5つの直径10センチ程の球をテーブルの上に置いた。
その球は真円と言えるほどの綺麗な球体ではあったが、微かに傾きのあるテーブルの上に置かれても一切転がる様子がない。
それは何か魔力の力が作用しその場に固定しようとしている様だった。
そしてDHは説明書とも言える書状をその場に残し姿を消す。
いつも通り無駄な行動は一切しない、DHの態度であった。
シルワーズが書状を読むとそこにはこう書かれて居た。
『1メートルの台座を用意してその台座の上にその球体を置き、指定された5箇所に設置する事。』
「急いで台座を作るのだ。そしてこの球体を設置しろ。」
シルワーズは指示を出しそれは実行された。
そしてその設置した球体は戦闘が始まり全軍が街の外に布陣した際に起動した。
ルルーナに城壁の様なものはないため全軍は街の外に囲む様に布陣することは予想されて居て、指揮官もその通りの布陣を行なった。
この防備を破られれば街に被害が出る。
ほぼ全戦力を守備に回すのは当然だ。
そして、もし内部で何かあっても周りを囲んだ兵が対処できる。
城壁が無いのを逆手に取った守備陣だった、筈だった。
起動したアーティファクトは他のアーティファクトと連動する。
設置された場所同士を光の線で結んだ。
その光を頭上から見たら五芒星を描いているだろう、その魔法陣が発動する魔法は結界だ。
カーバンクルの作る結界と同等の物がルルーナの街を囲って居た。
突然現れた光の壁に慌てたのは守備軍だ。
打ち破ろうとするがシールドと違ってダメージで削る事はできない。
エネルギーが切れるまで破れないのだ。
そうこうしているうちにルアシーン軍の総攻撃が始まった。
通常なら戦力は守備軍の方が上だが戦力を分散している上に街の中を移動して合流も出来ない。
完全に分断されて各個撃破の様な形になった。
ーーーーーーーー
少しでも面白いと思われましたらモチベーションにもなりますのでブクマ評価をよろしくお願いします。
とにー




