第119話 ギルドマスター シルワーズ
この上座に座り仕切る男。
名をシルワーズと言う。
ルルーナの冒険者ギルドのギルド長だ。
彼はルアシーンがボーヤン帝国に征服される前は冒険者ギルドで副ギルド長をやって居た。
ボーヤン帝国は恐ろしいスピードで国土を広げた。
そのデメリットの一つに市政を治める人材がいないと言うことがある。
特にルアシーン公国はボーヤン帝国が征服した国々の中で最初の大国だ。
その為様々な施策が試されることとなった。
ボーヤン帝国が恐れるのは1人の人物の力が強まることで、それが叛意を持つ事だ。
ルルーナの街はボーヤン帝国から見て王都の向こう側となる。
直接戦火には巻き込まれて居なかった為街としての機能をほぼ維持して居た。
故に権力を持つ者の排除から始めたのだ。
特にこのルルーナでは実験的な施策が取られた。
それはそれまでの長を総て廃し副の地位に着く者を長にすると言うものであった。
長に有るものはやはり権力が有る。
それを削ぐのが目的ではあったのだが、その時この街に送られてきた帝国の代官がかなり拗れた人物だった。
この場所は中央からも次に攻め込む国の場所からも離れているのだ。
左遷だと考えてしまったのだろう。
そこで彼は自分の勝手な考えで暴走してしまった。
国からの指示は廃された長は平民に落とし監視をつけて軟禁状態にするといった物だったのだが……
彼は元長を全員集めるとその場で処刑してしまったのだ。
彼に言わせれば監視をつけたり軟禁するのは人員や経費の無駄遣い
平民に落としたところで影響力は変わらないと言う理由なのだが、あまりに安直と言えるもので市民の反感は酷いものだった。
ただ帝国の武力には抗えずにその思いは沸々と中で沸き立って居た。
特にシルワーズの憤りは凄かった。
彼が副ギルド長だった時にギルド長を勤めて居たのは彼の妻だった。
彼が冒険者だった頃、2人は同じパーティで活動して居た。
ミスリルまで上り詰めたパーティのエースだったのが妻のミームだ。
シルワースはパーティリーダーではあったが後衛で縁の下の力持ちであった。
冒険者を引退してギルドに雇われた時も自分は副に収まり、ミームをギルド長の据えた。
先頭で引っ張っていくのは彼女の方が向いていると考えたからだ。
今となってはその考えを後悔はしているが……
彼はその処刑の時には事後の相談の為に街を離れて居た。
戻ってきてそれを知った際には絶望し後を追うことも考えたのだが、幼子が居たし、復讐を諦めきれなかった為思いとどまった。
代官に対しての抗議も特にしなかった。
それは、下手に抗議をして頭を挿げ替えられたら復讐できなくなる。
そんな思いからだった。
そして今その時が来た。
彼の体は興奮に震えて居た。
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誤字報告有難うございます。
最初の頃は句読点かなり適当だったですね。
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とにー




