第116話 ハーモニー
さてカミーユだ。
様子を見にいくが春花と和やかにだべって居た。
まぁそんなところだろう。大体想定どうりだ。カミーユの訓練は遅々として進んでいない。
俺は2人に話しかける。
「よう、調子はどうだい?」
「あっ、ススムお兄ちゃんやっほー。」
「ススムっち元気ー?」
2人とも元気そうで何よりだ。
そして春花はあっけらかんと言った。
「全然うまくいかないね。」
「ススムっち、手取り腰取り教えてよ。」
足取りなのは置いといて、俺もそうしたい所だけどな。
実際の所これで上手くいくとは正直思って居なかった。
彼女には危機感が無い。
それはどうしようもない事だ。
では危機感を煽れば良いかと言うとそうでもない。
危機感を煽っても命の危機の様な場面を作っても、彼女は諦めてしまうだけだろう。
その状況を変えるのは一朝一日で上手くいくはずはない。
彼女の内面的問題なのだから。
そこで俺は奥の手を使う。
「今日は訓練をやめて遊びに行こうか?」
「えっ、良いの?」
「よし、行こ行こ。」
「どこか行きたいところはあるか?」
「えーっと。」
俺が聞くとカミーユは言い淀む。
まぁこの世界で彼女の思う様な遊びは出来なかったのだろう。
そこで春花が口を出す。
「カラオケ行こうよ。」
それを聞いたカミーユは一瞬「へっ?」とした顔になる。
「カラオケか良いな。D○Mとジョ○サウンドとどちらが良い?」
「アニソン多いからジョ○サウンドが良いな。」
俺と春花の会話をボーッと聞いて居たカミーユはそこでスイッチが入った。
「えっ、オケあるの?どゆこと?」
そんなカミーユの問いには答えずに俺は呟く。
「丁度先日潰れたアミューズメント施設を居抜きで買ったんだよ。まだ開店前だけどそこに行こうか?」
「そこってゲーセンもあるの?」
「ゲーセンとかボーリング場とか、スポーツ施設もあった筈だ。」
「やったー、プリ撮ろう。」
「えっえっ、ここ日本?アタイ帰って来ちゃった?」
「やだなぁカミちゃん、ここは異世界だよ。」
戸惑うカミーユに春花は笑い掛ける。
「何でオケあるの?プリあるの?」
「まぁともかく行ってみるか。」
俺はそう言って建物の正面まで転移をした。
そこには6階建ての大きな施設があった。
看板のラウン○1の文字がそのままである。
「何で異世界にラウン○1があるの?」
カミーユは混乱したままだったが、春花が引っ張って中に入る。
そしてカラオケルームに入った。
「ドリンクバー取って来るね。カミちゃんもは何が良い?」
「ススムお兄ちゃんはハイボールでいいのかな?」
ここのドリンクバーはアルコールも置いてあるのだ。
そしてカラオケを始めた時に俺はカミーユに提案をした。
「カミーユ、デュエット曲を1人で、ダブルと歌ってみないか?」
それを聞いた時カミーユは目を輝かせて
「ススムっちナイスアイデア、それやってみるよ。」
そう言って彼女はデュエット曲をカラオケに入れた。
「うわっ、1人で歌えなかったところも歌える。これならあの曲も歌えるかも?」
彼女が次に入れたのは途中でコーラスが入る歌だ。
俺はその様子を見てこの調子でダブルに慣れればうまく操れる様になると感じて居た。
ーーーーーーー
少しでも面白いと思われましたらモチベーションにもなりますのでブクマ評価をよろしくお願いします。
とにー




