第115話 気の使い方
次はめぐみ……岩男くんだ。
ダンジョン9層に有る特訓場に俺は転移する。
そこには花栄と岩男君の姿があった。
崖の上に立つ花栄が崖下の岩男君に向けて弓矢を放つ。
それを岩男君が正面から気を放つが弓矢……と言うか彗星の勢いに負けて弾き飛ばされる。
「キャッ!」
そのままつんのめった様に倒れ落ちる岩男君。
叫び声も可愛いなぁおい。
しかし、花栄の弓矢を正面から迎え撃つのは流石に無謀だ。
正直これが出来るのなら威力として申し分無い。
この特訓はあくまで特訓をしたと言う事実が大切なのだ。
だから花栄の弓を実際跳ね返す必要はない。
しかし、それでも全く目に見える成果が無いという訳にもいかない。
かと言って花栄に手を抜かせるのも駄目だ。
現状花栄は100%の力で弓矢を放っている。
しかし、それはあくまで100%の力で撃っているだけである。
スキルとか気合いとかそう言ったものは一切乗って居ない。
この状況で力を70%にした場合、見た目で威力の下がったのがわかるのだ。
それでは特訓の意味はない。
そこで俺は岩男君に一つの提案をした。
「花栄の矢を正面から迎え撃つのはちょっと厳しいな、気を使って一旦受け流す様にすれば効果があるんじゃないか?」
その言葉を聞いて岩男君はまず側面から矢に気を当てる事を考えたようだが、恐ろしいスピードで飛んでくる矢を捉えきれない。
俺としては更なるヒントを与えても良いのだが、そこは自分で気がついて欲しいので取り敢えずは静観することとした。
すると岩男君は割と早く気がついた様だ。
ここまで正面から当たることだけを考えて居たので中々上手くいかなかったのだが工夫する事を教えただけで思いつくとは中々センスが良い。
岩男君は気をレーダーの様に使い矢がそれに触れた瞬間、そこから到達時間を割り出して矢に対して気を放つことを思いつき、それを実行した。
それによって側面から気を受けた矢はその射線をずらされて岩男君の横を通り抜けようとする。
しかし、岩男君の行動はそれだけでは無かった。
横から気を受けてスピードが鈍った矢に対して後ろから気を放つ。
追いついた気弾は矢を粉砕した。
「やったな!」
俺が褒めると岩男君は照れた様な顔をした。
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とにー




