第107話 狙われた街
現在俺はルアシーンの近隣の街、バザックの冒険者ギルドに居る。
俺は1ヶ月前からこの街に居るし宿屋も取っている。
現在この街への出入りは厳重にチェックされているし他所からの入場は禁止されている。
ルアシーン攻防戦以降入場した者についても厳重に調べられている。
当然俺を警戒しているのだろう。
俺があの時見せたスキルを街の中で使ったら防げる物ではないからな。
しかし、俺は既に街の中に居る。
どうやって来たかと言うと転移で来た。
俺があの時わざわざバイクで敵陣を抜けたのには理由がある。
格好良いから……と言うだけでは無いのだ。
敵軍の後ろに現れるのに転移を使うことも可能だったが、それだといつの間にか現れたことになる。
その場合転移を疑われる可能性があるのだ。
逆にバイクで敵陣を駆け抜けたことによって俺が転移を使える可能性を完全に消し去る事ができた。
もし転移を危惧された場合、王城のように転移不可の結界は難しいが、転移感知のアーティファクトの常備くらいされるだろう。
今ここで俺が軍隊を召喚すれば制圧は可能だろう。
しかし、それでは街の中で戦闘となり市民の生活は荒らされるだろう。
それは俺の本意では無い。
戦闘は戦う意志を持った者のみでやるべきなのだ。
そこでどう言った策を取るかだが、少し悠長だが街の兵隊を少しづつ取り替えていこう。
何、帝国が守備を選択した以上時間はまだ有る。
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僕はボーヤン帝国の衛兵でルイスと言う。
一年前からこのバザックの街に赴任して来た。
この街は俺の子供の頃は別の国だったらしい。
まぁそう言う僕も幼児だった頃に国がボーヤン帝国に征服されたんだけどね。
小さな頃だったのでほとんど覚えてないけれど。
この街は昔はかなり戦闘が酷く荒廃してたみたいだけど、ここ数年はかなり復興したみたいで、現在は戦線からかなり離れていることもあって落ち着いてる土地だった。
2週間前までは……
2週間前に隣のルアシーンが襲われて奪取されたんだ。
でも不思議だったのはその時既にこの街までは兵隊が集結していたんだ。
ルアシーンを守るために戦力を使わないのか思ったけど衛兵隊長が言うにはわざと取らせたらしい。
不思議なことをするもんだと思ったね。
それで取り返すための軍を出したんだ。
お偉いさんの考えることは分からないな。
でもそれが失敗したらしい。
最初から奪わせなければ良かったのに。
それで次にバザックの街が危ないと言うので今一杯の兵士がこの街に来ているんだ。
街の出入りも厳重にされている。
戦争は怖いから攻めてこなければいいなとは思うけどね。
でも僕には別の不安がある。仲の良い同僚のザインの様子がちょっとおかしい。
一昨日までは戦争に参加して活躍してやるって言ってたんだけど昨日から大人しくなって、うるさ過ぎるやつだったのに急に静かになったんだ。
戦争が近くなってビビったのかな?
あ、そこの冒険者、今はここは立ち入り禁止だ。
え、ちょっと道を聞きたい?
仕方がないな。
どこだね?
えっとこの道を……
あれ、なんだか眩暈が……
……
……
やっぱり戦争は良くないな。
ススム様の言う通りにしないと。
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思いっきり悪人ムーブで草
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とにー




