2-17 まだしばらく会えそうにないや
「あれで大丈夫なわけ?」
いら立った声を遠慮なくぶつけてやる。
「かまわないよ。彼を回収する目的は問題なく果たせた。それで十分さ」
けれど、答えはこっちのいら立ちなんて気にする様子もない。
わかってはいたけど、その態度が余計にいら立ちを強くさせる。
他にもいら立ちの原因はあるけれど、今はいい。
「それでいつまでコソコソしてなきゃいけないわけ。いい加減腹がたってくるんだけど」
「まだもう少しだけ我慢してほしいな。今はまだ姿を見せるには早いと思うんだ」
「そんなのそっちの勝手な言い分でしょ? あたし、別にあんたの言うこと聞く必要なんてないし」
正直なところを口にする。
ようやくと思っていたのに、ずっとお預けを食らわされてそろそろ忍耐も限界だった。
「やれやれ……君はそんなに我慢できない人ではなかったと思うんだけどな」
「知るかバカ。あんたがあたしの何を知ってるのさ」
「そう言われると答えに困るよ。こっちに来た段階で僕らは別個に別れた存在だからね」
そんなことを言ってるんじゃないけど、こいつにそんなことを言っても通じないから無視しておく。
「もうちょっとだけさ。もうちょっとしたら好きなだけ自由にしても大丈夫だから。だから、後少しの辛抱だよ」
そんなことを言われ続けてもうどれくらいだと思ってるの⁉︎
イライラしているこっちの様子なんて、やっぱり向こうは気にしてない。
そんな態度が余計にあたしを逆なでしてくる。
「今の言葉、絶対に忘れないでよ」
もちろんと笑みを浮かべるその顔はやっぱり気に入らなくて、
今すぐにでも殺してやりたくてたまらなかった。
ごめんね。
まだしばらく会えそうにないや。
けど、好きにしても良くなったらすぐにでも会いに行くから!
だから待っててね、ゆーくん!
「彼女にも困ったものだね。君も十分に暴れただろ? だから、しばらく大人しくしていてもらうよ。――ふざけるなって? 仕方がないよ。あまり警戒されても困るからね。けど安心して。ちゃんと、その時になったら好きなだけ暴れまわってもらうから。だから、楽しみはとっておこう」




