表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/215

1-43 何故止めたの?

「俺はあの二人に力を貸す」

 二人が連れて行かれた後、訪れた私に彼は今までと同じく短く告げた。

「……元々、そう伝えるつもりだったわ」

「なら問題ない」

 その返答も短く端的だった。

「何故、あの時止めたの?」

 私がこの場にたどり着いた時、彼はその身を貫かれ、下手をすれば二人共々命を失っていたかもしれない。

 だというのに即座に動こうとした私を目前の黒装束は制した。気配のみを飛ばし、手を出すな、と。

「あそこで倒れるならそこまで。立ち上がるなら共に並ぶ。そう考えただけだ」

 返答は変わらず端的。そんな言葉、答えになっていない。

 どうしてあの二人を危険にさらしたのかを聞いているのに。

 貴方であれば、彼があそこまで傷つくことなく場をおさめられたはず。

 昂ぶる胸の内を抑える。たとえそれを口にしたところで目の前の彼は答えを変えない。

 それがわかっているからこそ、怒りにも似たこのざわつきはおさまらない。

「お前はどうする?」

 そうして今度は問い返される。

「役目を果たすのみよ」

 返された問いへの答えは決まりきっていた。

 そうか、と変わらず短い言葉に、

「だが、一人で負うには限界がある」

 思いがけない続きを口にされた。

 その言葉に私は返さない。

「それもお前が決めることか」

 そう言って、彼は姿を消す。

 一人残され、私は知らず、唇をかんでいた。

 胸の奥にあるざわつきは消えてはくれない。

 それは先程の怒りとは違い、べったりと私の全身にこびりついていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ