EP98.シュウトのクエスト
俺、流シュウトは諸々の事情から単独でクエストに挑んでいた。…まあ、群星達に拾われるまではそれが普通だったのだが、なんだか不思議な気分だ。
今回のクエストは竜王退治…らしい。かつて永き眠りについたはずの竜王が目覚め、翼竜達を従えてとんでもない被害を出しているのだとか。
「…あれか」
街に出ると、すぐに翼竜達を見付けた。現在人類は竜王の脅威から逃れるために地下生活を余儀なくされているらしい。逆に言えばそれだけ翼竜達も蔓延っているということ。
俺を見付けた翼竜どもは突っ込んでくるが、今更そんなものに負ける気もない。
「失せろ!」
両腕を機関銃へと変え、翼竜達を撃ち落とす。
「…敵が多いな。纏めて突破するか。全身全武装・戦車!」
俺は戦車へと姿を変えると、そのまま砲を用いて片端から翼竜を撃墜し、先へ進む。ある程度近くの翼竜を殲滅したところで元の姿に戻る。
「一々倒してたんじゃキリがないな。矢張りさっさと竜王の元を目指すか」
俺はそう呟くと、地図を広げる。そこには、竜王が拠点としている居城の場所が記されていた。
「…よし、全身全武装・戦闘機!!」
俺は全身を戦闘機に変えると、そのまま高速で目的地を目指す。
道中出会した翼竜を撃ち落としながら、俺は考える。
俺が戦う理由は、復讐のためではなく、仲間のため。そう決めた。群星や、月見はそれで良かった。
だけれども、最近何故か、リンのことだけは少し違う考え方を持ち始めていた。単に共に戦うだけでなく、もっと先の何かを求めている。そんな自分がいるのだ。これがなんなのか分からない。この間のバレンタインも、俺が作ったお菓子を美味しそうに食べるアイツを見ていると、何故だが胸が満たされて、もっとその顔を見たいと思った。
群星達に関してはあいつ等が幸せを取り戻す一助になりたいと思っているが、リンに関しては、俺がこの手で幸せにしたいとすら思っている。不思議な感覚だった。
リンのことを考えていると、なんだか無性に彼女に会いたくなってきた。…が、今はそんなこと言ってる場合ではない。そろそろ目的地だ。気を引き締めていこう。
俺は竜王の城を目視すると、そこを守るために取り巻いている翼竜達をミサイルで撃破し、そのまま城に突っ込む。
俺が元の姿に戻ると、壁が半壊した部屋の奥にあった玉座に腰掛ける者が。
蜥蜴のような姿をしているが、放つ威圧感は段違い。そして何より人型。一目で分かる。こいつこそが…竜王だと。
「随分と乱暴な侵入方法だな、客人よ」
「客と呼ぶなら茶の一つでも出してみたらどうだ?」
「…申し訳ないが、別のおもてなしで勘弁してもらえるかな?ふん!」
「…!」
竜王は仰々しい態度で告げ、口から火炎を吐く。
俺はそれを盾で防ぐが、その熱量の高さに驚いていた。
「ははっ、こいつは凄えな。けど、無駄だぜ!オラッ!」
「変わった身体ですねぇ…」
「お前に言われたかねえけどな!!」
俺は次々とハンドガン、マシンガン、ショットガン、ガトリングガン、レールガンと切り替えて様々な銃撃を浴びせていく。
「ははは、未知の武器に身体が変わる。凄い力ですねぇ」
硬い鱗にも傷が付く。だが、肉を断って尚、奴の再生はそれを上回っていた。
「チッ、また再生持ちか」
「そろそろこちらからも」
「ぐっ!!」
竜王は涼しげな表情で告げ、尾を振り回して俺を吹き飛ばす。
「…なら、半身全武装!」
「おやおや」
俺は叩き付けるように叫んで、上半身を完全武装状態にする。
「フル・スターシューティング!」
「いくら数が多くても、効かなければ意味ありませんねえ」
「けど、足止めにはなったろ?」
「…何?」
「なんで真ん中の砲を使わなかったか教えてやるよ。…このためさ!チャージング・スターキャノン!」
「なっ!くっっ…まさか…こんなはずでは……バカなああああ!!!!」
奴の再生を上回る威力で消し飛ばせば何の問題もねえって寸法だ。群星も強くなってるからな。新技としてチャージして放つエネルギービーム砲を新たに習得して正解だったぜ。
俺が新技を実戦で通用させられた余韻に浸っていると、帰還用魔法陣によって俺の身体は元の世界へ送り返される。




