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無限回廊と幼馴染  作者: 名梨野公星
最終章:終幕の春
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EP97.リンのクエスト


 アタシことリン・ファジー=プラネイトは一人でクエストに挑んでいた。


 この世界には呪霊樹じゅりょうじゅと呼ばれる意志を持った木が街を侵食して被害を生んでいるらしい。

 つまりアタシの今回やるべきことはその呪霊樹を倒すということ。


 で、今アタシがどこにいるかと言うと、元街だった森だ。呪霊樹は自身の身体から発生させた種を植え付けた場所を支配域とし、その支配域をどこでも移動出来るらしい。


 つまり、ここもまた呪霊樹の領域。いつ襲い掛かられてもおかしくはない。

 死ぬのは嫌だが、アタシは体質上一度や二度死んだ程度では特に問題はない。ある意味で適任だったかもしれない。


 とは言え、いきなり出て来られたら心臓に悪いので相手から生命力を奪う禁術を使って木を枯らしつつライフを増やしている。

 この術は相手の意志で抵抗されると発動出来ないんだけど、本体でも何でもない木に意志もへったくれもないのでここでは使い易い。奪った生命力は全て賢者の石に集められる。


 こうして生命力を奪っていけば、いずれ呪霊樹もアタシに気付くだろうし、そうなると枯れて生命力を失った分体は使えないからこっちも有利な状況を作れる。


「およ。…来たかな」


 そんなことを考えながら歩いていると、ただならない気配を感じる。


「…貴様か…我が身にちょっかいを掛けている不届者は」


「不届者?…違うね」


「…何?」


 背後から掛けられる声。アタシが振り向くとそこには幹に顔が浮かんだ変な巨木が。あれこそ呪霊樹だろう。

 しかし、この言葉は見逃せない。アタシをただの不届者扱いなんてね。


「アタシは魔王!リン・ファジー=プラネイト!頭が高い!!」


「魔王だと…ふざけおって…ふん!」


魂炎(ブレイズソウ)鬼弾(ル バレット)」 !」


「何!?」


 呪霊樹は枝を伸ばしてリンを貫こうとするが、リンはすぐさま蒼炎の弾丸を撃ち出して消し炭にする。


「…出でよ!不死者の戦士達よ!死者の(リビングデッド)兵士(・ソルジャー)!!」


 リンは手を空に翳し、大量のゾンビの兵士を召喚する。


「小癪な…」


「これがアタシ…魔王の戦い方」


 先程からリンは呪霊樹に火炎を浴びせているが、大きい分効果は薄い様子だった。

 それを見たリンはゾンビ兵達が時間を稼いでいる間に一気に大きいの当てて倒すのがベスト。そう結論付け、行動に移す。


「なら、変換の指輪の出番かな?変換の指輪よ。私の生命を力に変えよ!書換え(リライト)!!」


 リンは変換の指輪を身に付けると、自身の中に蓄えられた生命力の一部を純粋な身体能力に変換し、高速で移動し始める。


「一気に決めるよ!」


「ちょこまかと…!」


 素早くなったリンに呪霊樹が辟易としつつ枝を伸ばして追撃するが、リンはそれを全て高速で避け続け、呪霊樹の前に跳ぶ。


「私に力を貸して…!魂焔(ソウルブレ)鎮魂歌(イズ・レクイエム)!」


 リンは手に持った黒光る片刃剣に語り掛けると、生命力を青い炎に変換し、纏わせて巨大な蒼炎の刃へと変える。

 そして、リンは巨大な蒼炎を纏った剣を呪霊樹の顔面に突き立てる。


「ぐぬああああっ!!!」


 呪霊樹が断末魔の叫びを上げると同時、リンは地面に降り立ってその幹に手を付ける。


「今のうちに完全に生命力を奪わせてもらうよ」


 凄まじい量の生命力を一息に吸収されたことで瀕死だった呪霊樹は見る間に枯れ、萎れていく。


「ふーっ。何とかサクッと終わって良かった。…それに思わぬところで大量の生命力を得られたし。メテス戦に備えて生命力は欲しかったしね」


 額に浮かんだ汗をリンが軽く拭うと同時、リンは元の世界へと帰って来る。

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