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無限回廊と幼馴染  作者: 名梨野公星
最終章:終幕の春
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EP92.セルラの想い


──俺達がハイワーにいた間に、王都がマドサイエ率いるキメラ軍団に占拠された。


 そんなニュースが俺達の耳に届いたのはセルラを奪還し、鎧の試練を乗り越えて王都に戻る道中だった。

 明日には王都へ着くというタイミングでのそのニュースは俺達を動揺させるには充分だった。


「…恐らく、元々そういう計画だったのでしょう」


「…と言うと?」


「推測なのですが、マドサイエは最初から王都を狙ってたのかと。ですが、王都は守りが硬いので…」


「……成る程、兵力をあっちに割かせることで手薄にしたのか」


「ええ。実際、勇者様に限らず優秀な兵が大勢ハイワーや、その他侵攻の激しい地域に派遣されていますから」


 セルラの説明に、俺は理解はしつつもマドサイエの策略に歯噛みする。


「焦っても仕方ありません。一先ず今日はもう休んで、明日助けに向かいましょう」


「…そうだな」


 俺達は今、道中の宿屋にいた。飛び出そうとする俺を制止したセルラの言葉を信じ、俺は矛を納める。


 夕食を食べ、夜もそこそこ更けてきた頃、俺達は互いに明日に備えて寝るべく、それぞれの部屋に入った。


 軽い眠りにつき、目を覚ましたのは真夜中だった。

 なんだか気配を感じた気がしたのだ。


 不審に思った俺は装甲石を手に外へ出る。確かに誰かが外へ出ていったと思ったが…そう思って辺りを見渡すと、近くにあった小さな丘の上に誰かが登って行こうとしているのが見えた。


「あれって…」


 俺が追いついた頃には、その人物──セルラは丘の上でぼうっと星空を見上げていた。


「何してんだ、こんな夜中に」


「…勇者様こそ」


「お前の気配を感じてな」


「…それはすみません」


 俺の言葉に、セルラは眉をハの字にして謝る。


「別に良いよ。…星、綺麗だよな」


「勇者様の世界では星は見られないのですか?」


「全く見れないわけじゃないけど…ここまで綺麗には見えないかな。場所によるっちゃ場所によるんだが」


 俺の話を聞いたセルラはポツリと尋ねる。


「…この世界の星空は、お気に召しましたか?」


「ああ。正直名残惜しいくらいだ」


「…それなら、この世界にいれば良いじゃないですか」


「え?」


 予想外の言葉に、俺は思わずセルラの方を見る。


「…勇者様。私はずっと勇者様に言いたいことがありました」


「あ、ああ」


「私は、勇者様のことをお慕い申し上げております」


「おう。…えっ!?」


「このわたくしセルラエナ・リースタイルと結婚していただけませんか?」


 あまりに予想外のセルラの言葉に、俺は少なからず動揺する。

 …いや、予想外ではなかった。正直、そんな気はしてた。彼女からの好意を、感じ取ってないわけじゃなかった。

 仮にも二人からの告白を受けて来た今、流石に分かっていた。ただ、見て見ぬふりをしてただけで。


「…お返事を、聞かせていただいても宜しいですか?」


「…ありがとうな。セルラ。…けどごめん。君の想いには応えられない」


「…そうですよね。勇者様には、やるべきこともありますし…何より()()()()()()がいらっしゃいますものね」


「それは…」


「良いんですよ。隠さなくて。あのお二人のどちらかなのでしょう?」


「!」


 ()()()()()()いたことに驚きを禁じ得ないが、何とか平静を保って返事をする。


「…バレてたか」


「勿論です。…あの、どっちなんですか?」


 どっちとは。その言葉の意味は態々聞き返さずとも分かった。


「…い、一応フラれた身ですし、気になるんです」


「俺は…俺が本当に好きなのは…──」


 この日、俺は誰にも明かしてないなかった想いをセルラに明かした。

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